春を知らない蝶々 | ナノ
昔、小学生の頃通っていたスイミングスクールが取り壊されると知った。あんなに思い入れのあるスイミングスクールもいまとなってはふーん、と思うだけで。冷凍庫をあけてアイスをとりだし、口へ運ぶ。なぜかこの時期に食べるアイスが私は好きだった。味は絶対にミルク味。これ以外口にしたことはない。そのままソファへ倒れこむ。母にあんたはまただらだらして、と怒られたが適当に返事を返したらまた怒られて母は奥の部屋へ消えていった。私はほう、と息を吐く。目を瞑ってみればあの日の出来事が鮮明に思い出される。窓からはいる風が頬を撫でて気持ちいい。私が泳ぐことをやめて、大分たつ。急にスイミングスクールやめて葉月くんや橘くん、七瀬くん、松岡くん怒っているかな。
・・なんて、考えてももう今となっては分からないこと。

もうすぐ、高校生になる。