初めて出会ったあなたに



私の周りは今バレンタインで盛り上がっている
誰に渡すだとか、何を作るだとか

そう様々な会話が今耳に入ってくる
この職場は嫌というほど男がいる
だからその中で意中の人がいてもおかしくはないのは事実
出会いがないって泣き喚くほど困ることじゃない

という私も好きな男の人はいる
みんなベテランだったりするけど私はルーキーにいる

その名前はフィン・マコーレー気弱な性格で有名だ
でも私は彼の優しさに惚れてしまった
私の方が経歴は上でベテランなんだけど、仲間を失いショックを受けていたら
彼がかけつけて慰めてくれた・・・初対面の人間をなぐさめる人などいない
でも彼は違った・・・私はいろいろ彼に支えられてきた

いままでなかったこの出来事に
初めて恋をしたんだ・・・その時のお礼もあるけど・・・
チョコを作ってきた


「あ、ルナもチョコあんじゃーん!誰にあげるの?」


そこに現れたのはオペレーターの女の人だった
人懐っこい性格なのでそこらの男性陣には人気のある子だ
男女おかまいなしなこの性格だから、女性陣からも人気


「これは・・・お礼っていうのもあるんだけど」


「お礼?本命チョコじゃないの?」


「でも、本命かな・・・」


好きな人に好きだと言えるような私は素直にできているわけじゃない
お礼だといいつつ本命なのは事実だけど、実際お礼という気持ちがでかい


「ねねっ・・・誰なの?クリスさん?」


「上司にっていうか・・・新人?」


「ええ?!意外だねー新人に惚れちゃった?」


どういう意味なのかよくわからないけど、すごく驚いていた
年上を好きになるタイプだと思っていたようだ・・・
実際フィンとは3つ下だ・・・

「で、誰なの?」


「フィン・マコーレーっていう人」


「あーあのタレ目な男の人ね!いいと思うよ!彼優しいし従順そう!」


最後の一言がとても気になる・・・
尻に敷くタイプだと思ってるのかしら・・・私のことを・・・
でも優しいのは事実だ・・・


「じゃぁ、渡してきなよ!私も頑張る」


「う、うん。頑張るよ、頑張ってね」


そういってひらひらと手を振りながら彼女は
どこかへ行ってしまった
周りにいた女性たちもちらほらとチョコを持ち去って行く姿が見えた

私も渡しに行こうとやおらと立ち上がり
新人がいる部屋へと歩いていくと


「あれ?ルナさん、こちらは新人ルームですよ??」


「あ、フィン・・・ちょっといい?」


偶然フィンが廊下の手洗い場で手を洗っていた
ここで渡すのもなんなので違う場所へと呼び出せば
フィンは私の後ろをついてくる


「フィン・・・いつも支えてくれてありがとうね」


「いえ、とんでもないですよ!人は支えあっていかないとね」


本当に優しい子だとつくづく思う
普通は甘えてるんじゃないとか、泣いてる暇はないだとか
冷たい一言しかないこの世界にこんな優しい子がいただなんて・・・

「これ・・・そのお礼なんだけど・・・」


やはり好きだとは言えない・・・勇気さえなくなってしまってる
ベテランなんでしょ?なんでこんなことで怖気つくの?
そう何度も言い聞かせていても・・・結局このざまだ


「これって・・・チョコ?」


「そう、手作りだから味に保証はできないけど」


「うれしいです!!ありがとうございます!!」


どうやら喜んでくれたようだ。
見たことのない満面の笑顔で喜んでいた
だけどそれも一瞬で笑顔が消えた


「お礼・・・だけでチョコを?」


「え?・・・ダメでした?」


「いえ・・・ダメじゃないですよ!ルナさんには本命がいたんですね・・・」


肩をガックシと落とし下をむくフィン
今日はバレンタイン。フィンも少なからず期待していたのだろうか・・・
その本命はあなたですって言えば・・・笑ってくれるのだろうか・・・
自分の思いを告げることがこんなに難しいものだとおもわなかった


「本命・・・は・・・・・目の前にいます・・・」


「え?」


「フィン・・・あなたが本命なの・・・勇気でなくて」


するとみるみるうちにフィンの表情がまた
あの満面の笑顔にかわった


「よかった!ボクずっとルナさんが好きだったんです!チョコもらえなかったらどうしようとかずっと思ってたんです!」


すごく可愛いと思えてしょうがなかった
こんなに喜んでくれるなんて思ってもみなかったから
子供のようにはしゃいでいるフィンが私にとって唯一の救いなのかもしれない

じめて出会ったあなたに



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