すべては気分任せ



「ルナチョコをよこせ」


「いきなりなに!」


本当にいきなりな発言をする男はウェスカーだった
ルナは「いつも唐突だけど」とボソリとつぶやく


「今日はバレンタインだろ?」


「昨日チョコなんぞいらん!って言ってたじゃないですか!」


「今はほしいんだ」


毎度のことながら気分屋なウェスカーには
ほとほと呆れるルナだ

仕方がないと、キッチンに向かうルナ


「どこいくんだ」


「チョコ作るんです!」


「ここでつくればいい」


「はぁ?!」


自分の前にある机を指を指すウェスカー
どんな料理もお菓子もすべてキッチンでつくらなきゃ
気がすまないルナ

「嫌です!汚れますし!冷蔵庫とか水とか取りに行くのが面倒なので!」


「チョコ溶かせばそれでいい」


「うがーーー!!!」


だったら板チョコそのまま渡せばいいと
そう思ったルナは冷蔵庫から板チョコを持ってくる


「ほら、これでいいでしょ?」


「・・・・これじゃつまらん」


何をやるにもダメだしをくらう為
ルナのこめかみには青筋が浮かんでいる

湯煎に赤とピンクとオレンジのチョコペンを溶かし
ウェスカーの横に座る



「なんだそれは」


「これでデコります・・・それでいいでしょ?」


「あぁ」


見たこともないそのカラフルなチョコペンに興味があるのか
黄色を取りジロジロと見つめるウェスカー

「先端切りますからそのまま持っててください」

チョキンと切ると
黄色いチョコがニュっと出てくる

それに少々驚くウェスカー


「なんだ・・・注射か?」


「それのどこが注射にみえるのか不思議です・・・」


もうため息すらつくことのできないルナは
赤とピンクとオレンジのチョコペンの先端を切り終え

チョコに絵を書いていく


「何かいてるんだ・・・」


「あなたの好物でしょ?」


「・・・・それはなんだ?」


チョコにオレンジで輪郭をとっていき
赤色でベースをつくり、ピンクと白で模様を描いていくと


「・・・リッカーか・・・」


「あなたの好物でしょ?」


「私の好物がリッカーだと?!ふざけるな!」


「なによーリッカーの繁殖してるじゃない!」


チョコに描いたものはリッカーであった
自分の好物がリッカーだと思われたことが心外なのか
黄色いペンで


「ルナの大好物リッカーでーす・・?はぁああ?!!!」


リッカーの絵の上にそう書くと
ルナは机をひっくり返す勢いで立ち上がる


「何も私のことを理解していないんだな」


「だって事実じゃない・・・リッカーばかり世話してるじゃない」


「なんだ、リッカーに嫉妬か?情けない奴だ」


自分よりもリッカーや実験などに夢中のウェスカーに
少々嫌気をさしていたルナ


「なによ・・・悪い?」


「いや、光栄だ。私の好物はルナお前一人さ」


「・・・・もぉ」


嬉しくなりつい口元が緩むルナに
「単純だな」と余計な一言を言うウェスカー


「あー!いつもいつも一言が多いんだよぉおおお!!!!!」


「HAHAHA!」


ウェスカーの上にまたがり頭をポカポカなぐるルナに
微動だにしず大笑いをするウェスカー


「さぁ、作ったチョコを食べようじゃないか」


リッカーの描かれたチョコをつかみ
バクっと食べると


「甘いな・・・お口直しにルナのキスがほしい」


「しませーーーんだ!」


「いけない子だ」


口箸を上げたウェスカーはルナの顎をつかみ
唇を奪う


「んー!」


「いい子だ」



べては気分まかせ











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