誰も居ない静かな小屋の床に、そっとルナを下ろす。

「・・・フィン・・・ありがとう・・・!」

 タブレットが効いてきたのか、ルナは小さく笑って上体を起こした。

 刹那、抱き締められるルナの体。

「・・・僕・・・心配したんだからね!」

 ルナを抱き締めるフィンの腕は微かに震えていた。

「・・・フィン、ごめ―」

 フィンはルナの言葉を聞く前に、その唇を塞いだ。

 “ごめん”なんていう言葉は聞きたくない。ルナが無事で居る、それだけで十分なのだ。しかし不安で、心配でならなかったフィン。今ここにルナが居るという事実を、視覚だけではなく、聴覚、嗅覚、触覚、自分が持つ全てでルナの全てを感じたかった。

 フィンは唇を離さずに、勢いよくルナの上体を床へと戻した。

 川に飛び込んだせいでで全身濡れてしまった邪魔なだけの戦闘着を、フィンは勢いよく脱ぎ捨てていく。そして、ルナの戦闘着に手を掛ける。

「フィ・・・ン・・・」

 この後起こることがルナにはもうわかるのか、顔を真っ赤にしてフィンを見上げている。

 “この後起こること”をしないにしても、互いに濡れたままで居れば風邪をひいてしまう。どっちにしても、体温を奪う濡れた戦闘着を脱がなければならないのだ。

 ルナを一糸纏わぬ姿にさせたフィンは、ルナを優しく見つめた。








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