「ルナ!!ルナ!?大丈夫っ!?・・・ねぇっ!?」

 フィンは珍しく声を荒らげていた。ルナの体が宙を舞い、谷底に流れる川へと落ちて行ったのを目の前で見たからだ。

 フィンの無線での呼びかけに、ルナは答えない。

「ルナっ!?」

 フィンは更なる大声を上げた。普段は垂れ下がった眉毛も、この時ばかりは上を向いていた。

―「・・・ぁ・・・・・・」

 やがて無線から聞こえたルナの苦しげな息遣い。

―「・・・フィ・・・ン、・・・たすけ・・・・・・」

 “フィン、助けて”、そうはっきりとフィンが聞き取った後、ルナからの連絡は途絶えた。

 フィンはルナが落ちて行った谷底に目を凝らす。流のしっかりしている川。彼女が落ちたであろう場所には既に彼女の姿はなかった。

 ダイイング状態に陥っているルナ。

 このままではルナの命が危ない!





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