普段見せない顔



「なぁ、今日はバレンタインだ、ベクターはチョコいくつもらえるだろうん?」


「チョコなど興味はない・・・」


「とかいいつつなんだ、バレンタインの特集読んでるじゃねぇか」


ベルトウェイがからかうように笑えば
ベクターの鋭い視線が返ってくる、興味ないといいつつも
ベクターも男、気になる女性からもらえれたらなと密かに思ってはいるようだ

「本当お前はいつもいつも素直じゃねぇよな」

毎度のことながらと言うベルトウェイに
本を投げつけるベクターはそのまま、部屋を立ち去る
どこに行く予定もなくブラブラ歩いていると


「えールナ好きな人いるのー?」


「なに・・?好きな人だと?」


聞きなれた声に立ち止まり、自分の密かに想いを寄せている女ルナ
そのルナに好きな人がいると知りベクターは
胸に痛みがはしる


「誰々ー?」


「えっとねぇ・・・」


聞きたくない・・・そう思ったベクターは
一目散にその場を走り去る


「もし・・・俺じゃないやつだったら・・・・」


告白をする前に失恋するのは
どうしても避けたかったベクター・・・だがやはり、気になるのだ
ルナの好きな人を・・・


「もうすぐバレンタインだったな・・・あいつは誰に渡すんだろうな」


「どうした、ベクター」


「っ?!マスター!!」


そこへ急に顔を出すハンクに
驚き2、3歩後ずさる、そんな行動に不思議に思ったハンクは
「どうした?」と問う


「いや・・・なんでもない」


「バレンタインと言っていたが?何かあったのか?」


「アンタに関係はない!・・・・バレンタインなど興味はない」


「そうか、まぁぜいぜい頑張れよ」


ポンとベクターの肩に手をやり
ハンクはベクターを横切る瞬間口角があがっていたのを見逃さなかった

「マスターのやつ・・・すべてお見通しというわけか・・・」

はぁ。。。とため息をつくと
前へと歩き出す、行き先など決まってはおらず

ただ施設内を散歩するベクター
だが、やはり頭の中はルナのことで頭いっぱいだ


「・・・腹減ったな・・・」


何を思ったのか急に腹が減りとりあえず食堂へと向かおうと
足を運ぶと


「あ・・・ベクター」


「ルナ」


そこに現れたのはずっと頭の中で考えていた
ルナ張本人だ
ルナをジッと見つめるとほのかに頬が赤いことに気づく


「あの・・・ハッピーバレンタイン・・・ずっと好きでした・・・」


「・・・・」


チョコを両手で渡すルナの姿に
開いた口がふさがらないのか、ベクターは固まっている

こんな簡単に、答えがみつかるとは
思っていなかったからだ・・・


「やっぱ・・・ダメですか・・・」


「あ・・・いや、そうじゃない・・・」


しばらく経っても受け取ってくれる様子のない
ベクターに不安に思い頭をあげれば
それに気づいたベクターが慌てるようにチョコに手をのばす


「俺も・・・好きだ・・・・」


「本当ですか?!・・・あぁ・・・よかったぁ・・・・」


相当嬉しかったのだろう
ルナの目から大粒の涙がこぼれている
そんなルナに動揺の隠せないベクターはルナの体を抱き寄せて
きつく抱きしめる


「お・・・」


「?!ベルトウェイ!」


そこに空気の読めない男ベルトウェイが現れた
本人も偶然出くわしたために、驚いて声がつい漏れてしまい
しまったと反対方向へ向こうとした瞬間
ベルトウェイの声が聞こえ慌ててルナを引き剥がす


「やっぱ素直じゃねぇよな・・・」


「うるさい!殺すぞ!」


「ハハハッ、好きな女を前にデレデレしやがって。まったく妬けるぜ」


「ベルトウェイ!!!」


嫌味たらしく言うベルトウェイは「末永く幸せにな」と大きな声で
言い、ベクターたちに背を向け去って行く


「ベクター・・・」


「ずっとルナが好きだったんだ・・・絶対に幸せにする」


「ありがとう、私もベクターのことずっと好きだったよ、もちろん今も大好きだよ」


邪魔者がいなくなり再び
抱き合う二人、二人にとって最高のバレンタインを迎えれたことに
幸せを感じた

段みせない顔


---END---





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