#その少女、真実を知る



ひどい夢をみたと思いたい
そんな人物と私は出会ってしまった


「あの・・・」


エルサレムの街角で出会った女の子に声をかけられた
誰だろうとみていると

「ロベールの娘のマルグリート・デ・セイブルと申します」

え・・・・?
一瞬私の頭の中が真っ白になった

ロベールの・・・娘という。。。しかもどうみても私より若い・・・
14くらい・・・?若い子だった


「おねえちゃんが・・父のこと父と言っていたのを見かけて・・・」


え・・・どういうこと・・・?
私の父がロベールじゃないの・・・?

混乱するなか
どういうことなのかを聞いた


思い返せば


私には二人の関係性が理解できない
敵同士で義理とはいえ親子関係・・・

ぐるぐるする思考のなか
父の元へと足を運んだものの話をするのがとてもこわかった

「ルナどうした浮かない顔して」


父親であるロベール・ド・サブレ
テンプル騎士団の総長

そして義理の父だというアル・ムアリム大導師・・・

一体どういうことなのか・・・


「おじさまとは・・・どういう関係なの?」


「言っただろ、義理の父親だ」


「・・・なんで敵であるアサシン教団に義理の父親が存在するの?」


父は困った顔をみせた
私にどう説明をしたらいいのかわからないのだろう・・・


「これには深いわけがあってだな・・・」


「愛人の子供だった・・・とか?」


しばらくだんまりする父
図星なのだろうか・・・


「・・・・・・」

「ということは・・・マルグリート・デ・セイブル・・・娘さんでしょ?」


「・・・・・」


沈黙が重い・・・
そうじゃないって言ってほしかった


あの少女が愛人の子供だって言ってほしかった

母親の顔を見たことがないことに納得がいった
愛人の子供だと知られたくないからおじさまに預けたんだ

だから義理の父親だと言ったんだ
嘘ついていたんだ・・・



「…最低」


「ルナ!」


そう言い残して
待ってくれ!と叫ぶ父親を無視して
ひたすら走った




なんで、どうして!という言葉しか
もう頭に浮かばなかった

愛人の子供?私が?
あんなにアルタイルに渡さないと言っていたのに・・・
大事にされているんだと思っていたのに・・・


無我夢中に走ってめぐる思考のなか
たどり着いたのはアサシン教団の支部だった


そこにはマリクとアルタイルがこちらをみて
驚愕していた


「い、いったいどうしたルナ」

まっすぐに駆け寄ってきたのは
アルタイルだった


「わたし・・・わたし・・・」


泣きじゃくる私・・・頭をなでて落ち着かせようとしてくれてるのだろうか
そのやさしさから涙がどんどん込みあがってくる



「愛人の子だった・・・私愛人の子だった!」



「聞いたのか・・・」


「アルタイルも知っていたの?!」


しがみつくのをやめて顔をバッと離しアルタイルをみると
静かにうなずいた


「なんで・・・どうして・・・みんな私に黙って・・・」



嘘つきだ・・・みんな嘘つきだ
私に居場所なんて・・・ないんだ・・・


ふらふらする・・・立っていられない・・・
視界がぼやけて・・・


「「ルナ!!ルナ!!」」

二人の叫ぶ声だけが聞こえた・・・



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