#その少女、平和主義



ここ数日父であるロベールとアルタイルの口論がマシャフ全体に響き渡っており
すぐにおじさまが駆けつけては二人をしかりつけていた
こんな毎日が続き、どうしたら二人が仲良く過ごせるのか
頭でいろいろと考えるが、すべてナンセンス。
事あることに喧嘩ばかりだ


「ルナ、アルタイルには絶対近づくな?いいな」


「んー・・・近づくなって言われても」


そう、近づくなという方が難しい
アルタイルから来る以上私は避けようがない
というより避ける意味もないし、相手の方が早いのだ


「あの鷹の目というものでお前を見つけ出しているんだな?」


「鷹の目?なにそれ」


「なに、知らないのか?」


知るはずがない
千里眼とかその類なのかもしれないけど
聞いたことがない
父上がいうにはターゲットを・・・うんぬん


「アルタイルとは相当仲悪いんだね・・・」


「仲良くて堪るか。あんなやつは消えてなくなればいい」


「そこまで言わなくてもいいんじゃないかな・・・・悪い人じゃないし・・・」


「いいか?ルナあいつは俺たち・・・仲間を殺されているんだぞ?」


暗殺者・・・それだけで周りの人達に恨みを買ってしまうのは
しょうがないことだけど
ここの宗教については私も全くの無知だ
どんな宗教だって仲間を殺されるのは心が痛むもの


「宗教戦争なんてなければ・・・」


「どうした?」


「べつにアサシン教団だけが人を殺めているわけではないのでしょう?」


「・・・ルナ?」


「復讐したってその先に待ってるものは復讐でしかない・・・」


アルタイルが様々な任務をこなして
若くしてマスターアサシンとなった、それだけたくさんの人を殺めてきた
アルタイルが恨まれるのも仕方がないでしょう

だけど罪のない者を殺したりはしていない・・・
それがここの仕来り、テンプル騎士団がどういったルールのもとで
縛られているのかわからない

そしてまた神を信ずる者は人それぞれだ
イエス・キリストを信ずる者、ヤハウェを神と信ずる者、アッラーを信ずる者
それぞれ人によって違う

だから、自分が信ずる神こそが真の神だと・・・そういうことで
宗教戦争がおきるわけだ


「アルタイルを悪く言うようなことはしないでほしい」


「・・・・どうした急に」


「悲しいの・・・自分の信じるモノが正しいと思う気持ちが強すぎて様々な人達が亡くなってしまうのが・・・・」



「・・・そうだな」



「戦争って憎しみしか生まれないと思うんだ・・・それって神様は悲しいと思ってるんじゃないかな・・・って思うんだ・・・」



宗教戦争だけじゃない、兵器をつかった戦争や冷戦
内戦など、たくさんの命が奪われていきそして憎しみと悲しみしか生まれない



「それぞれの宗教を尊重すべきだと思う・・・ダメなことなのかな」



「ダメなことではない・・・だが、このご時世だ難しいだろう」



「・・・そっか」



「でも誇りに思うぞ、そんな心優しい娘が私の子供なんだからな?」



難しい顔をしていた父上がそっと微笑んでくれた
異論を言わない父上はきっとアルタイルを心の底から恨んでいるわけではない

「だが、アルタイルに大事な娘をやれないぞ?」


「アルタイルにこだわるねぇ〜」


「当たり前だ!あんなあんな傲慢なあいつにお前を渡してたまるものか」


親バカっていうのはこういうことを言うんだね
苦笑いしか浮かべることしかできない私はただ呆然と
父上を見上げていた







きっと、平和な世界が待ってる





ーーーEND-ーー

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