#その少女、父と遭遇



「アルタイルはいるか!」


城内に響き渡る男性の声に驚き
私はベッドから飛び降りた

だれかアルタイルを探しているようだけど
あいにくアルタイルは任務にでばらっている

ここの生活にもなれてきて
アルタイルやおじさまと何不自由なく生活をしている

「アルタイルはいるか!」



「あ、すいません・・・アルタイルは今でばらってて・・・」



「ルナか!ルナなのか?!」



「へぇ?!」


慌てて顔を出せば
テンプル騎士団の人物が立っていたが
しかしテンプル騎士団がなぜ?なんて疑問している暇もなく
私は目の前の男に肩をガシッと掴まれ

ガクガクと揺さぶられて
正直脳震盪を起こすんじゃないかと思うぐらい激しかった


「無事か・・・無事だったか・・・会いたかったぞ・・・」



「は・・・はぁ・・・」



一体誰だろうか、この人は・・・
この人は私のことを知っているようなんだけども・・・



「それともなにか・・・オレとは会いたくなかったか?」



「・・・い、いえ・・・失礼ですが・・・どなたですか?」



「実の父親を忘れたか!なんてことだ・・・大事な愛娘が・・・そんな・・・」



え・・・え?!
私の父親?!いやいや、ちょっとおかしいでしょ
だってアサシン教にとってテンプル騎士団は敵なんじゃ?

ますます意味がわからない
つまりおじさまの息子さん?
いや・・・どう考えてもそうではなさそう・・・



「おじ様とは一体どういった関係でしょうか・・・」


「義理の親父だ・・・」


「義理・・・」


やはりそうだったのね・・・
でも、でもなんで?私のお父さんは・・・ただのサラリーマン・・・
というかここではこの目の前の人が父親なのか・・・


「ロベールだ・・・ロベール・サブレ」


「鳩サ○レ・・・」


「なんと?」


サブレといえば鳩・・・ごほんっ


「いえ、なんでもないです・・・」


つまりこの人が父親ということは
私はルナ・サブレ?・・・同類じゃないかぁーー!



「ロベール・・・」


「アルタイル・・・」


「あ・・・おかえりなさい」


そこへ現れたのはアルタイルだった
さすがマスターアサシン、やることが早い
3日前の明け方に出て今帰還なのだから



「私の娘はやらんぞ」


「いや、いただく」


「やらん!」


「いただく!」


会って早々口論が始まる
なんで私ってこうも大事にされすぎてるんだろうって疑問に思う
というか、こんなに大事にされてるのにも関わらず
私はわかんないんだもんなぁ・・・



「ルナ!私と帰るぞ!」


「は?・・・へ?」


「何をいう!ルナはマシャフに居る方が安全だ!」


「この汚らわしい狼のたまり場に大事な愛娘はおいとけん!」



「いたい・・・いたいってばぁ・・・」


両手を引っ張られ私は体が避けてしまうのではないかというぐらい
痛くて堪らない、私の講義など聞こえていないのか
グイグイと引っ張り合う


「私は綱引きの綱ではないですーー!!!!」


「「す・・・すまん」」


あぁ、危うく真っ二つになるところだった・・・
なんだか・・・私ここにいるのが疲れるかもしれない・・・


おじさま、アルタイル、ロベールに大事にされすぎて
嫌気がさしてるのかもしれない・・・


なんというか・・・一番被害被ってるのは
やっぱり私とそこに居るアサシンの卵たちであろう・・・



「ルナよオレと一緒に行かないか?」


「ルナ・・・オレと一緒に居てくれ・・・」


どっちを選べばいいのか私にはよくわかんない
ここの世界には慣れてきてはいるけど
やっぱりわけがわからないことだらけだ


「あのね・・・気持ちはすごくありがたいんですけど・・・」


「・・・なんだ」


「まだ、よくわからないのでおじさまの傍にいようと思います」


そう、まだよくわからないのだ
父親が娘を傍におきたい理由もわかるけど
まだ、ここに来て1ヶ月ほど、そろそろ落ち着いて生活がしたいのが
私の本当の気持ち


「オレじゃないのか・・・」


しょんぼりするアルタイルに
気を良くしたのかロベールはカッカッカと笑っている


「ごめんね、アルタイル」


「いや・・・ゆっくりでいい・・・いずれオレの傍にいたいと思えるようにする」


「あはは・・・」


そんなにしてまで私が欲しいのね・・・
でもやっぱり慎重に考えるべきよね・・・



「だが、一生ルナは貴様には譲れないぞアルタイル」


「意地でもオレのものにみせる」


「なんだと?」


あぁ、はじまった・・・いつかみた
おじさまとアルタイルの口論を思い出す



ここに居た私って相当苦労したんだろうなぁ〜・・・・
そもそもここにもうひとりの自分が居たとしたら・・・
あっちの世界に居るのかなぁ〜





END

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