#その少女、嫉妬



最近アルタイルが私のそばにこない
自分の時間がとれるのはいい事なのだけれど

毎日のように来ていたのが
まったく来なくなったのだ

それはそれでとても寂しく感じた
こうもこないとなると任務で忙しいのか遠出してるのかと
思っていたのです


でもたまに食堂とかで見かけたりするの
声をかけても「あぁ、」「そうだな」とかそっけない反応しかなく

なにかしたのかと思ったけど
怖くて聞くことができず、バラバラで食べるようになった


また
アルタイルがほかの女性と親しくしゃべってごはんを
一緒にしている姿を見てしまった
とてもキレイな女性・・・


あぁ・・そういうことか
アルタイルに春がきたんだと私は察した

喜ばしいことなのだけれど
なぜか私の気持ちがドス黒い何かが芽生えているのが分かった


“子供がほしい”

そんな変態じみた発言も

“好きだ、愛してる”

という甘い言葉も



全部嘘だったのか・・・
期待させておいて・・・

でも、アルタイルからしたら子供の私なんかより
大人の女性がいいに決まっている

そう、私はまだ子供・・・といってももう19歳
一応大人の女性に近づいているわけ

記憶はもうあまりないけれど
高校を出て仕事についていたのだ
でもまだ未成年・・・この時代はどうなのかわからないけれど

分かっている・・・
アルタイルにとって私への愛情表現は
きっとからかいだったんだと


「なんだ、ごはんがすすんでないじゃないか」


「マ・・・マリク・・?」


なんでこんなところに・・・と
考えてる暇などなかった

あったかいスープもごはんもすっかり冷めて
ごはんは空気にふれて上のあたりは乾燥していた


「何かあったのか?」


「い・・・いえ」


マリクは私の顔をのぞいてきた
私はどんな表情をしているのだろう

きっと憎悪に満ちた顔をしている
醜い表情をしているにちがいない


「そういえばアルタイルは・・・おとなしいんだな」


「・・・・・・・・そうですね」


一番つっつかれたくない事を言われ
小さくため息をついた


それに気づいたのかマリクは
私の肩を自身に寄せた


「だったら俺にしろよ・・・」


「へ・・?」


私の耳元でマリクはささやいた
耳元でささやかれた経験はないため体が自由に言う事をきかず
ゾクゾクと体を震わせた


「ちょっとこっちに来るんだ」


腕をとられ立たされ別の場所へと移動させられる

アルタイルが見てるとも知らず、マリクに引っ張られつづけ

壁に押し寄せられた、いわゆる壁ドンというやつだ


「なんだかんだいってアルタイルのことが好きなんだろ?」


「え・・・・」


「見たら分かるさ、さっきの女としゃべってるのが気にくわないんだろう?」


何もかも図星をつかれ
何も言う事もできない

「だって…私子供だし・・・」


「俺はお前を大人の女と見てるぞ?」


「アルタイルは・・・」



「お前よりあの女がいいのかもな?」


意地悪そうに笑うと壁に手をあてていたのをやめ
私の顎に指をのせ上を向けさせられた


「あんな疫病神といると損するだけだ・・・ルナ・・・」


そういうと顔が近づいてくる
何をされそうになっているかはいくら子供の私でもわかる

「い・・・いや・・・」


首をそらそうとするが
片腕しかないとはいえ鍛え上げられた男の力には勝てず
目を強くつむる

すると


「・・・・・ぐっ・・・」


唸り声が聞こえ体の自由がきき解放されたことに気づき
目をみひらけば



「ア・・・アルタイル?」


「・・・・ルナに手を出すとはいい度胸だなマリク」


「・・・・まったく・・・世話がやける」



アルタイルがすごい形相でマリクをみつめ
殴ったであろう拳にマリクの血がついていた

一方マリクは切れた唇の血をぬぐい
苦笑しつつ立ち上がった


「ルナをほっとけば俺みたいな男がどんどん寄ってくるぞ?」


「何がいいたい」


「ほかの女に現つを抜かすのも自由だが、ルナの気持ちを少しでも理解してやるんだな」



そう言い残してマリクは去っていく
アルタイルは「マリク!!」と叫ぶがマリクは振り返ることすらせず
姿を消した



「まだ・・・何もされてないか?」


「え・・・う、うん」


私に目線をあわせ
かがみながら頭をなでてくれた


「ア、アルタイル・・・お、お幸せにねっ」


「?な、なにを言っているんだ?」


するとアルタイルは慌てふためきながら
何の事だと聞いてきた


「最近・・・」


理由を説明した
そばに来てくれなくて少し寂しかったこと
でもそれはアルタイルに春がきて好きな女性が現れたこと

すべて
すべて話した・・・


「マリアのことか・・・・」


あぁ、マリアという女性・・・・・・・
マリア?!


名前を聞きバッとアルタイルの方へ顔をむけた


「あ、あぁよく知ってるだろ?」


知ってるも何も。。。全然姿がちがうから・・・
分からなかった・・・


「お前に知られないために変装してるんだ・・・」



な・・・なんだ、そういうことか・・・
父上の事で色々情報を聞き出していたようで
少しほっとしたのもつかの間


「それにしても、嫉妬か?俺に嫉妬してくれていたのか??」


そんなことよりとアルタイルの声が嬉々としている
危機を感じたのは遅く抱きしめられてしまった


「ちょっ・・・アルタイルってばっ」


「照れるな、まさか・・・俺に嫉妬してくれるとはな」


徐々に力をいれてくるせいで
体が痛い痛い


「く。。。くるしいよ」


「あぁ、愛らしい・・なんとも愛らしい・・・」


やはり。。。変態なんじゃないかこの人は・・・
と感じたけれど・・・


「口づけを・・」


「それはダメっ!!!」


バチンっと頬を叩く音が城内に鳴り響き


「やっぱり私の勘違い!!!」


と部屋へと戻っていった



でも。。。口元が緩んでいる私なのであった。


「そ、そんな…待ってくれルナ」




----END----













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