相当のイカレポンチ
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「マリク・・・」


「仕事の邪魔だけはするなよ」


あの時から師とマリクはいがみ合う仲
仕方がないといえば仕方がないのだけど・・・

なんというか師がやることなすことが
すべて気に食わないんだろう・・・

そしてコロコロと態度が変わる

「まるで情緒不安定」


「何か言ったか?ルナ」


「いえ・・・」


するどい目つきでこちらを睨むマリク
別に任務なんだし手を貸すぐらいいいじゃない・・・
そう思っても彼は弟を死なせてしまった
心の痛みは消えない。
しょうがないと割り切るしか私にはできない


「師よ・・・お気になさらず仕事にとりかかってください」


「あぁ、行ってくる」


ムっとしていた表情が和らぎ
私の頭をなでてすぐ支部を後にすると


「ったく・・・」


「まぁまぁ・・・」


やはり気に食わないのだろう

余計なことしやがって・・・そう言いたげな表情を浮かべ
机に視線をうつすマリク


私はやることがなく
近くにある椅子に腰かけて
暇を持て余していると


「お前はアルタイルのこと好きなのか?」


「どうして急に?」


「好きだと言ったらその口を塞いでやろうと思ってな」


・・・・何言ってるんだろ?この人は
手にしていたのはナイフで大いに予想はできる
だけど、そんなこと言われたら「好きです」なんて言えないよ・・・


「マリクは師を目の敵に
しすぎではなくて?」

「あいつが、あんな真似さえしなければ…」

カダールが死ななくて済んだと言いたいんだろう
その上、アサシンとしての自信がなくなり
もう、アサシンにはなれないと

「マリク…」

「俺は…」

ずっと引きずる形になるのだろうか
それとも

「管区長なんだから、しっかりしないとカダールに笑われるよ」

「それもそうか…」

時間の問題。
アルタイルとは、あまりうまくいかないけど
なんだかんだ…アルタイルを思いやってる


「アルタイルが来ても歪み合わなければ完璧なんだけどなぁ」

「あいつの名を出すな!」

あ、駄目だこりゃ

名前だけで過剰反応

「ねぇ、マリク」

「なんだ」

今だ怒った表情でこちらを
見る

「さっき師を好きかと聞きましたね」

「あぁ」

「私は師は、大好きですが…「引き裂いてやる!こっちにこい!」

「え・・・や、やだっ!話最後まで!やぁぁっ」

マリクの方が好きだって言いたかったのに
この人は…

ナイフをかざしてカウンターを飛び越し
すごい形相で走り出す


「ルナ!待て!」

入口をひょいひょい登り
登れないマリクを見下す


「人の話は最後まで聞くのが礼儀!」

「降りてこい!」

聞いてない…怒らせると
周りが見えなくなるマリクの欠点


「マリクが呼んでるじゃないか」

「アルタイル」

後ろから声をかけて来たのは
暗殺が終わり、戻ってきた

「アルタイル助けてー」

「ルナ!離れろ!まじで引き裂くぞ!」

アルタイルに抱きついて見せれば
マリクがカンカンに怒り出す


「俺のいない間に何があった」

「アルタイルを師を好きだと言ってこの様です」

「なるほど…」

アルタイルには、私がマリクを好きだと
いうことは、伝えてはいるから
変な勘違いはしないでくれたけど

マリクはそうもいかないようだ


「ルナ…そいつだけは駄目だ!」


まだ言うか…
まるで父親、みたいな言い方をするものだから
マリクは私をどう思ってるかが
わからないわけで

「マリク、ルナを降ろしてやるから受け取るがいい」


「え?!」


ポイっと私を支部に放り投げられる
師よ…あんまりです…


「いたたっ」

「ルナ」

ナイフを持ち、こちらに
歩みよるマリクが怖い

師は、姿を消すし…
仲がよろしいことで…


怖い




「マリク・・・あのね・・・私が本当に好きなのはあなたよア・ナ・タ」

「嘘だ!」


いつからお前はヤンデレになった!
あいやーーーー!!!


「だから危ないから振り回さない!」


「フラれたから次の男に心変わりするのか!なんてやつだ」


「お前がなんてやつだ!!」って言いたいのは山々だけど
この男を落ち着かせる方法はないのだろうか・・・


「師としては憧れで尊敬の目で好きって意味で!」


「信じれるか」


あぁ・・・この男はもうアホだ・・・アホ
まるで女々しい・・・まるで?いや女々しい


「はぁ・・・しょうがない」


「何がしょうがないんd・・・・・・」

本当はファーストキスはムードのある演出で
迎えたかったが・・・やむを得ない・・・



「私のファーストキスを捧げたんだから感謝しなさいよね!」


「なに、ファーストキス・・・だと?!」


あからさまに嬉しそうな顔をするのをやめてくれないだろうか・・・
彼は態度に出やすいからわかりやすい


「ルナ・・・そんな大事なことをオレでよかったのか?」


よかったんでしょ?私は全然構わないんだけど
マリクってこんなにバカだったっけ・・・
まぁ、いいわ・・・


「だからはじめから言ってるじゃん・・・」


「そうならそうでなんで早く言わない」


「・・・・先ほどからずっと言ってたのに聞く耳もたないどころか否定してたじゃない」


時々わけがわからなくなる。
ツンなのかデレなのか・・・まぁ、ツンツンツンツンデレというのが正しいかな


「俺は・・・アルタイルに勝った!」


なんなのよそれ・・・
アルタイルとなんで勝負ごとになってるのよ・・・


単純なのね・・・
いつものマリクに戻ってほしい・・・そう思う





正気に戻ったのは翌日だとか・・・
イカれた彼と共にした1日はとても長く感じた・・・



---END---


真面目なマリクを崩したかっただけですw
すいません(;_;)



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