秘めてた思いが明かされし時
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「弟子よ・・・他の者はどうした」

「死にました」

アルタイルが帰還したと聞き
マシャフに寄ると、一緒にいたマリクもその弟のカダールも
死んだと聞いた・・・

一瞬にして目の前が真っ白になる。
これ以上聞きたくなくて

マシャフを飛び出る
その時血まみれのアサシンとすれ違ったことさえ
それがマリクだってことも分からず・・・

とりあえず走った
もう、会えない・・・もうお話ができない
そう思うと涙をこらえられなくて

同時にアルタイルを恨んでしまう・・・
掟をやぶらなければ。。。こんなことには・・・


すると大勢の大群が押し寄せてきては
市民たちに悲痛な悲鳴ばかりが聞こえ・・・


「なん・・・で?!」


テンプル騎士団とおぼしき兵士らが
市民や警備隊を攻撃している

アサシンブレードで背後から
急所を狙えばその兵士は苦痛の声をあげ果てる


「はやく、マシャフへ」


怪我はなかったのだろうか、何事もなく
市民はマシャフへと逃げ込む


「ルナ!」


呼ばれる声がし
振り向けば会いたくもない人間がそこにいた


「アルタイル・・・」


「無事か?」


「・・・・」


「おい」


「・・・触るな!」


こいつがマリクを殺した・・・
そう思うと腹立だしい・・・肩に手をかけられると
振り払えば、アルタイルは目を見開き驚いている


「聞いた、みんな死んだんですって?・・・」


「マリクは生きてる・・・」


「・・・え?」

みんな死んだって・・・
そう言ったじゃない・・・・


「カダールは残念だが、マリクは左腕を負傷し、宝を持ち帰った・・・」

じゃぁ、さっきの
すれちがった負傷したアサシンはマリク・・?


「でも、あなたを許せない」


「すまない・・・」


「おまけに、この騒ぎはなに」


「秘宝を追ってやってきたテンプル騎士団たちだ」


この騒ぎの原因がわかった
でも納得はできない、結局はアルタイルのせいじゃない・・・
アルタイルのこと信じてたのに・・・


「ルナ・・・」


「マリクはどこ」


「医務室だ」


一目散に走る
マリクが無事ならそれでいい・・・
生きてるならいいじゃない・・・

何度も何度も言い聞かせながら
医務室へ顔をだす


「マリク!!」


「・・・ルナか・・・」


包帯を巻かれ横たわるマリクをみて
すぐに気づいた、左腕はもうなかった


「腕・・・」


「アルタイルのせいだ・・・おかげでカダール・・・」


「聞いた・・・痛かったでしょ」


となりに座り
頬を触れる・・・


「もう・・・おれはアサシンではない」

「マリクが無事なら、私はそれでいい・・・アサシンじゃなくても」

「・・・ルナ」

そう・・・生きてるだけで
私は嬉しいの・・・だって・・・


「私ね・・・マリクと話せるだけで・・・嬉しい」

「ルナ?」

「今まで言ってなかったし素直になれなかった・・・」


いつもマリクの前では素直にはなれなかった
でも、こんな状況で意地ははれない・・・


「だけど・・・マリクのこと、好きなの・・・」


「・・・本当か?俺はてっきり嫌われてると思ってた」


「そうだよね・・・」

「アルタイルにだけは素直で俺には冷たかったしな」

当然といえば当然かな・・・
好きだから素直にはなれなくてついつい冷たくあたっちゃう・・・

「でも・・・辛いぐらいマリクのこt・・・んっ」


「・・・言うな、そういうのは普通男から言うもんだ・・・」


「プライド・・・ほんとう高いよね、マリク」


フっと笑うマリクに私は安心した
元気はあるみたい・・・

「腕が治ったら、覚悟しておけよ?」

「何を覚悟するのよ」

「楽しみにしておくことだな」

最後まで意地悪そうに笑うのね・・・マリクは・・・
でも、そんなマリクに惚れたのは私。



++++

「マリクを呼ぼう」

「うぇ?!!いや・・・マリクは・・・いいよ別に呼ばなくても」

「そうか?」

「うん・・・」

「よし、呼ぼう」

「だぁああ!!!!」

アルタイルは言わずとも私がマリクのこと好きだってこと
わかっていて・・・

なんだかんだ、マリクと二人にしてくれたり
してたっけ・・・


ごめんね。アルタイル。
あなたにはあなたなりの考えがあったんだよね?


「どうした?」


「え・・・ううん、アルタイルに悪いことしちゃったなって」

あ、面白くない顔した
ヤキモチ・・・ってことでいいのかなぁ

「マリクさ・・・可愛い」


「なっ・・・お前のほうが可愛い・・・ぞ」


「ぷ・・・くくっ・・・」


「笑うなよ」と怒ってくるマリク
らしくない言葉を聞いて笑わずにはいられないよ

「はやく腕を治すんだよー?」


「はぁ・・・」


なんでため息つくのさ・・・


「キスしてくれたら、治るの早まるかもな?」

意地悪そうに笑うと
マリクはこちらを凝視


「し・・・仕方がないわね・・・」


そっと触れるだけのキスをすれば
満足そうに微笑むマリク


早く・・・治ってよね・・・



---END---



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