好きだからこそ・・・
bookmark



どんよりと曇った天気のエルサレムの街で
ルナはローブを被り民衆に紛れながら
とある暗殺の任務を遂行すべくマリクの情報をもとに
探索をしている


「おい、そこの神学者」

すると、兵士がルナを呼び止める
バレてしまうと思い、ルナは内心ビクビクしていた

「なんでしょう」


「何、女だったのか・・・」


すると兵士はルナが女だとわかるや
体勢を整えスッと息を吸い込んだ


「この先に用があるならローブはやめておいたほうがいい」


「なぜですか?」


「この街にアサシンが紛れていると聞いた、そのアサシンもまたそのようなローブを着ている」


「はぁ・・・」


この兵士はルナがアサシンだとは知らないのか
ベラベラと情報を漏らしている
こんなこと普通は一般人に話していい事ではないはずなのだが


「兵士が血眼にしてそのアサシンを見つけるべくローブを着るものすべて取り調べしているというわけだ」


「そうですか・・・」


「だが、女だと知ればどうされるかは知らないぞ?野蛮な男が多いからなぁ」

最近の兵士たちは女に飢え
そこかしこの女どもに手を出しているという噂はルナも何件か
聞いたことはあるがそれが事実とは思っていなかったのか
驚いていた


「でもなぜ私にそのような?」


「俺はそういう兵士たちのやり方が気に食わないだけさ」


はぁ・・・と深くため息をもらし
兵士は頭を下げている


「貴重な情報ありがとうございます、ではこのへんで」


「あぁ、気をつけろよ」


そうルナと兵士は別れを告げ
マリクの元へと向かう


「ただいま・・・」


「何だ、早かったじゃないか」


「貴重な情報を得たわ・・・今兵士らはローブを着るものをすべて徹底的に調べているらしいの」


「ほぉ」


マリクは本を出し、ルナの情報を
書き足していく


「ローブを着ての探索は厳しいみたい」


「だが、ローブを着ていないとすぐ指名手配だ」


「女なら・・・すぐ敵地に潜入できるかもしれない・・・」


「なぜそう分かる」


マリクは小首をかしげ眉間にしわをよせている
何か嫌な予感でもしてるかのような
そんなマリクの心配をよそに

「自分に魅力があるとは限らないけど・・・」


「やはりか・・・ダメだ・・・俺は許さない」


「そうも言ってられないでしょ?どっちにしろ時間が・・・」


「その件はアルタイルに任せるとする、お前じゃダメだ」


マリクは強く反対をする
ルナは自分でできないことはないと強く主張をするが
「官区長の命を聞かないやつはどうなるかわかってるか?」と脅され
ルナは口をへの字にしクルリと背を向ける


「なんで私じゃダメなのよ・・・」


「心配なんだ」


「私だって立派なアサシンよ?マスターではないけど・・・」


「そういうことじゃない、もしお前が・・・他の男に抱かれることになってみろ・・・」


「マリク?」


力なく言うマリクのその言動に
ルナは眉をさげマリクの方へ向きなおす

すると肩手で顔を抑えている
マリクが視界にはいった


「俺はお前が好きなんだ・・・そんな好きな女が他の男に・・・」


「マリク・・・」


「お前の実力は認めてる、だがもしものことがあれば・・・」


「ありがとうマリク・・・私もマリクのこと大好きだから・・・」


そう優しく微笑むとマリクは
カウンターから出てルナをきつく抱きしめる


「アサシンやめるよ、マリクと一緒にエルサレムにいたい」


「ルナ?・・・でも、お前は・・・」


「いいの、私はマリクと一緒にいたいから・・・」


「そうか・・・すまない・・・」


よしよしとマリクの頭をなでれば
少しムっとした表情を浮かべるマリクだが
すぐに穏やかな表情を向ける



「あ・・・はやくアルタイル呼ばないと日が暮れる」


「あぁ、そうだったな・・・」

伝書鳩に紙をまきつけ
アルタイルのいる場所へと飛ばし

アルタイルが来るまでの間に
任務に必要な情報を入手するべくルナは街に再び足を運んだ





---END---


prev|next

[戻る]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -