なるんじゃなかったと・・・つのるのは後悔ばかり
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「ルナ、ついにここまでこれたんだな?」


「はい、アル・ムアリム様・・・」


ついに私はアサシンとして認められ
これからアルタイルという者の部下になれと命じられ
浮かれていたのが間違いだったようです・・・


「よって、お前にアサシンブレードを授けよう」


目の前に差し出されたのは
暗殺武器だった、初めてみた武器に手を差し伸べると


「これを使いこなせれば真のアサシンとなれよう」


「はい、頑張ります」


「ルナよ・・・これを持つというのはどういうことかわかるかの?」


受け取ったさいに言われた言葉が
今になってようやく気づく・・・

そう・・・左手の薬指の切除
これを避けては通れない・・・

受け取ってしまった以上
これをしないでは前には進めない

話に聞けば
アサシンになるということは左手の薬指をなくすのは
基本的な儀式だという・・・


「ルナ」


「師範・・・もう少し・・・お時間をください」


「早くしろ、時間をかければかけるほど辛くなるぞ」

優しく投げかけてくれるのは
私の師アルタイル・・・彼の元で仕事ができる
それはずっとずっと憧れていたこと・・・


でも・・・
薬指を切除となれば話はべつ・・・


「師よ・・・切らないといけませんか・・」

「当然だ、俺もその道をくぐってきた」

「痛くないですか・・・?」

「初めはな・・・だがすぐ良くなる」

頭をなでながら
微笑んでナイフを持つその姿がとても恐ろしい
実際、アルタイルは腹黒さはないのだけれども・・・
悪意のこもった笑みではないのはわかるんだけど・・・

今のこの状況下では
無理だ


「もし・・・切断してブレードをつけたら・・・食事おごってください」


「お安い御用だ、じゃぁ切るぞ」


「・・・はいっ・・・・」


私の腕をガッシリと掴み
力を込めて抑える・・・

ナイフを薬指に宛てがい


「一気に・・・・お願いしますっ」


「あぁ・・・」


ナイフをかざした瞬間
私は目をつむる

「っっんくぅぅうっ・・・」

「よし・・・よく頑張った」

「ふ・・・・っ・・・・うっ・・・・・ぐぐっ・・・」

あまりの痛さに気がどうにかなりそうで
涙も尋常じゃないぐらい流れると同時に指からも
ダラダラと血が流れる


「止血するから、動くな。深呼吸してまず気を落ち着かせよう」


「は・・い・・・・」

治るまではしばらく痛むことを思えば
気が滅入りそう・・・

もし、アサシンじゃなく彼に出会えるとしたら・・・
こんな道には進まなかったのかもしれない・・・



後悔先に立たず・・・とはこのことだったんだろうか・・・



---END---


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