夜だけが楽しみ
bookmark


彼はアサシン毎日多忙の身
そしていつ死ぬのかわからない身

今日死ぬかも、明日かも・・・
そう思っている自分が憎かったりもする
それだけ怖いの、毎日毎日生きて夜会いにきてくれるのを
私はただ待つだけ

私は彼と違って命を奪う仕事ではなく
ただのそこらの町娘といったところ



ゴツン・・・・



決まって彼は窓にむかって石を投げてくる
夜男が女の部屋にはいりこむなどどこの親も許すはずはない
玄関からお出迎えができないのはとても残念だ
だけど仕方がないのである


彼得意のフリーランで壁をよじり
部屋へと入ってくる


「ルナ・・・愛している」


「アルタイル、私もよ」


はいってすぐ私たちは抱き合い口づけを交わし
イスに座らせると
毎度のことながら他愛のない話をする

「今日は待ちに待っていた花が開花したの」


「そうか、毎日水遣りしたりして世話してたからな」


「ふふ」


小さな植木鉢に植えた花を
アルタイルに見せれば彼も嬉しそうに微笑んでくれる
唯一至福なひとときで毎日アルタイルと会うことだけが楽しみ


日中は忙しいので中々会えないけど
何もないときには顔を出すようにはしてくれているんだけど
そんな日が1月に1回あればいい方。


「アルタイル・・・」


「なんだ」


「疲れてるのに毎晩来てくれてありがとう」


「どうした急に」


不思議そうな目で見つめるアルタイル
私は今までこんなこと一度も言わなかったから
余計なんだろう・・・

「ううん、ただ申し訳ないなーっておもって」


「俺が好きで会いに来ているから変な心配はするな」


「うん、ありがとう」


アルタイルは優しい
ポンと私の頭に手をのせてなでてくれる
すっと心の不安が解け安心している


「きょうはもう遅い、早く寝て健康でいてくれ」


「もういっちゃうの?」


「明日もくる」


もう寝ないと明日の仕事に支障がでる
そう思うとこれ以上のわがままも言えなくて
毎日こうしてお別れ

翌日の夜を楽しみにしているの
元気で顔をだしてくれるアルタイルが
私にとって幸せ



「うん、楽しみにしてるよ」



「あぁ、おやすみ愛しいルナよ」



「おやすみなさい、アルタイル」


「「安全と平和を。「アルタイル」「ルナ」」


こうして一夜が過ぎていく
早く夜にならないかしら


---END---


prev|next

[戻る]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -