将来の矛先
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「ルナ先輩・・・」

書類の整頓をしているルナを
背後から後輩のジェーンが声をかける


「なに、ジェーン」


「ハンクとうまくいっているのかい?」


「何よ、藪から棒に」


トントンと書類を机に叩き
まとめ少し呆れたように応えると


「いつもルナひとりでいるじゃないか」


「任務で忙しい身なの、仕方がないことよ」


「こないだだって・・・デートすっぽかされてたじゃないか、それにお腹に子供いるんだろ?」


待ちに待ったその日を楽しみにしていたルナだが
急遽任務がはいり「埋め合わせをする」と言葉が最後に
ハンクとのやりとりが消えている

子供もできて、幸せになれると
そう信じていた

だけど「仕方がない」と割り切るルナだったが
心の底から「仕方がないこと」とは思えなかったのだ


「ねぇ、ジェーン・・・」


「なんだい?」


「どうしていつも恋路の邪魔をするのよ」


「哀れだなって思ってね」


まとめられた書類をジェーンは奪い
となりの席へとポンと起き

ルナと向き合うよう正面にたつ


「彼にとって君は任務以下の人間だ、君より優先するのは任務だ」


「いつものことよ」


「ほら、君が重症負ったあの日だって見舞いに行くこともしなかったじゃないか」


「・・・・」


「重症負ったと知らせを受けながらも、急遽はいった任務に就いていた」


「それは・・・」



こんな時こそ大好きなあの人が傍にいてくれたら。。。
毎日そう思っていたからこそ、その言葉が
ズキズキと胸を痛めていく


「大事にされているとは思えないな」


「やめて・・・」


「僕なら君を泣かしたり悲しませたりしないよ・・・そのお腹の子も立派に育ててあげるよ」


ルナの震える肩を掴み
ジェーンは自分のもとへと抱き寄せようとする


「なに人の女に手をだしている」


「ハンク?!」


「・・・え・・」


扉をバンッと勢いよく開けて中に
入ってくる黒い人物はハンクだった
俯いていたルナは顔を上げる


「ハンク、君じゃルナを幸せにはできないよ」


「そうだろうな、だがそれを決めるのはルナだ、貴様じゃない」


ルナをジェーンから引き剥がし
自身の背後に隠す


「任務第一の君に・・「今の私じゃ父親失格だと思っただけだ・・・・」


「ハンク・・・」


「ルナの子供だって気の毒だろうね、いつ死ぬかもわからない父親を持つって」


「いまのうちにお金を集めておかないといけないと・・・そう思っただけだ」


ある程度のお金がはいれば
この仕事から降りるというハンクにルナは目を大きく見開いた
しっかり将来のことを考えてくれていたのだと・・・


「すまなかった・・・」


「ううん、いいの・・・この子のことも考えてくれていただけでも嬉しいから」


「謝っても謝りきれないが・・・」



少し大きくなったお腹をなでると
ハンクの大きな手が重なりハンクも上下にお腹をさする


「・・・・」


ジェーンは何も言わずそのまま
その場を立ち去った


チュッとリップ音を鳴らし
ルナにキスをする



「もう少し、あともう少しだ・・・辛抱できるか?」



「もちろん、今日まで待っていれたんだもの」



「そうか、終われば一軒家を買おう」



「そうね。マイホームだね」



そのまま二人は手をつなぎ
帰路についた





---END---



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