2nd Kiss
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「もーーー嫌!」


休憩室に入るなりいきなり
怒鳴ってかぶっていたヘルメットを椅子へと
投げつける女ルナ


「あんのセクハラ野郎!あーーむしゃくしゃする!」


誰も居ないことをいいことに
大声で罵声をあげながらドカっと椅子に座り
くしゃくしゃと頭を掻きはじめる


「・・・・はぁ・・・人がせっかく寝ていたのに邪魔しやがって・・・」


「ハンク?!・・・・居たんだ」


思わぬ人物が休憩室で仮眠をとっていたことに
驚いた表情をするルナと不快な表情を浮かべるハンク


「お前の隊長がセクハラで女好きは今に始まった話じゃないだろ」


いちいちうるさいんだと付け加えると
ハンクはそのまま寝転がる


「そーなんだけど、今日という今日は許せない!」


「・・・・」


「無視すんな!コラ!」


「・・・」


ハンクは関わりたくないのだろうか
耳を傾けることなく目を瞑り始める


「聞けこの死神野郎!」



「ッチ・・・聞いてやるから・・・」


いつまでもぎゃぁぎゃぁ騒ぐルナにめんどくさくなったのか
起き上がり不機嫌そうな顔をルナに向けて「続けろ」と合図をすると
ルナは話しだした


「うちの隊長がね?任務が成功したからご褒美のキスをしてやろう・・・って言ってね?」


「・・・・ほう」


「はじめはいつもの冗談なんだと思ったの。でもマジで私の唇奪ったんだよ?最低じゃない?!」


思わず身を乗り出し「そう思わない?」とハンクに尋ねるが
ハンクは「はぁ・・・」と深いため息をつくしかなかった
それ以外の反応はない


「・・・」


「唇奪ったどころじゃないんだよ!舌まで入れてきたんだよ?!どうかしてるでしょ!」


「・・・・・・」


俺にどうしろと言うのだと言わんばかりの困った表情を浮かべると
その反応が不満だったのかルナは「もういい!」となんとも自分勝手な
態度をとる

そこからしばらく沈黙が続いた



「ねぇ・・・ハンクはさ・・・」


「なんだ」


「どうでもいいことだと・・・思ってる?」


その長い沈黙を破ったのはルナの方だった
ちょっと切なそうに言うルナに対しハンクは「うーん」と考える


「まぁ、そうだよねー・・・別に私が誰に何されようとアナタには関係ないことだよね」


「俺にどうこうできる問題じゃ・・・・ルナ?」


ハンクは困惑表情を浮かべる
ルナの目には涙が溢れんとばかりに溜まっている


「私・・・ファーストキスは・・・アナタがよかった・・・」



今にも消え入りそうな声で、ハンクに想いを伝える
我慢していた涙がポロ・・・ポロとこぼれはじめる


「・・・・・」



「でも、私の片思いだ・・・し・ひっく・・しょうがないことだけど」


しゃくりあげながら言うルナを黙って見ているハンクだったが
ゆっくりとルナに腕を伸ばしていく


「馬鹿だよねっ・・・」


「これ以上は言うな・・・・・・・」


ルナの腕を触れてすぐ
自身へと抱き寄せて背中に腕を回しきつく抱きしめる
思わず驚きの声を発するルナに



「片思いなんかじゃない・・・ずっと好きだったんだ・・・」


「え・・・?」


「冷静でいなきゃいけなかったんだ・・・でないと・・・きっと・・・」



本当は今にでもその男を殴りに行きたいんだと、気が狂いそうだと
そうハンクは言う
あの態度とはうって違って今のハンクは冷静で落ち着いている様子はない


「ルナ・・・口直しといこうか・・・」


「へ?・・・ハン・・・・んぅっ・・・・ふっ・・・」


やはり
いつもの意地悪だけど優しいハンクと違った姿を目にして
「自分だけ見せてくれる姿」なのだろうかと少し嬉しく思っている


長い長い口づけは終わり
お互いの口からは銀の糸がつたう


「ハンク・・・ここ休憩室」


「お前が悪いんだろ?それにまんざらでもなかっただろ」


するといつものように意地悪なハンクに戻ると
ルナはムスっとした表情をみせる





---END---



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