いいようのない想い
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「マスター・・・明日急遽休暇をいただけないですか?」


「なんでだ?」


突然私の前に現れたのはルナである
弟子にした覚えはないのだが、鍛錬し今では
自分の下で働くようになった


「明日・・・お見合いが決まったようです」


「見合いなど、いつでもいいだろ」


「それが・・・一身上の都合で・・・」


どうせ父親が怒鳴ったんだろう
ルナの父親はとにかくうるさいことは知っている

ルナもいい大人だそろそろ結婚させてあげたい親心なのだろうが
仕事を休んでまでする行事でもないだろう

そしてどこか複雑な気持ちが込上がる

「お前は見合いをしてさっさと結婚したいのか?」


「・・・親のいいつけで」


「親のいいつけで好きでもない男と共に一生を過ごすといいたいのか?死ねといったらお前はそれに従うのか?」


さすがに言いすぎたと思った時には遅かった
ルナは目に涙をうかべてすぐに泣き出しそうだった

「すまない、言いすぎたな」


「いえ・・・」


「だが、いつまで親の顔色を伺っているつもりだ?」


するとルナは口をへの字にし手をギュっと握り震えていた
それだけ親が恐ろしいんだろう
どんな任務でも弱音を吐くこともないが親はそれ以上恐ろしいものなのだろう

「マスター・・・私は・・・」


「まぁ、いい。明日休みをいれてやる・・・お見合いでもして退職するといい」


「・・・・」


「なんだ、休みがほしかったんだろ?」


お望み通り休みをくれてやると言っているのに
ルナはただ私をじっとみつめ涙をうかべている

自分でも言い知れないこの気持ちが一体なんなのかは
分からず、イライラしてきている
お見合いをしたいわけではないと知っているが
むしろ、お見合いなどして欲しくないと思っている自分がいる


「マスター・・・お世話になりました・・・」


「あぁ」


「・・・・・」


「なんだ、ほかに用事でもあったか?」


本当は引き止めてやりたい・・・しかし
何故引き止めてやりたいのか私にはまだ理解できない

このまま下がらせばもう・・・会うことはないだろう
望んでないお見合いをさせたいわけではない
阻止してほしいのか?


とにかく今自分の脳内には
混乱が生じている


ルナはどうしてほしいのだ・・・
なにか望んでいる?

そんな様子が時々伺えた


「マスター・・・私はずっとあなたを・・・」


何を言い出す気だ
また私の脳内を混乱させるつもりか?

そしてなぜ余裕がないんだ


「お見合いなんて・・・するんじゃない」


ルナの言葉など最後まで聞くことなく
私は気づいたらルナを抱き寄せていた


「マスター・・・・」


「私と一緒に・・・居てくれ」


この言いようのない気持ちは
「恋」だったということなのか・・・?

さきほどまで驚いてたルナは
すぅ・・・っと笑顔になっていた


「よかった・・・よかったです・・・」


ルナは私の背中に腕を回し
涙を流しながら笑っていた




---END---


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