臆病者の恋
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「ねぇねぇ、ルナは好きな人いるの?」


「え?・・・・う、うん」


「えー誰々?!」


訓練の休憩の合間に恋話を楽しむ女子二人
ルナという女性は、どうやら恋をしているようで
友人のメリッサが目を輝かしながらルナにせまる

ここは戦場で
恋が成就しても長くは持たない、それでも
恋を楽しむ女性も少なくはない

どの場所に行っても
女というものは恋話が好きなようだ


「ルナさん・・・」


するとそこへ、影からコッソリ
ルナの様子を伺う人物が1名いた
その人物はルナと同じBSAA新人隊員のフィン・マコーレーだった


そのフィンの送る視線には
まったく気づくことのない二人は


「誰なのよー」


「えっと・・・・」


「かっこいい?」


「かっこいいとは・・・違うかな・・・どちらかといったら子供っぽい顔立ち・・・」


格好良いかと聞かれると
ルナは首をかしげながらそうではないと言う


そして話の内容までは聞き取れないフィンは
何の話をしてるか気になり、聞こえないのに
耳をすまそうと必死だ


「童顔かー・・・この隊に童顔といえば・・・あ・・・まさか」


「わかったの?」


「マコーレー君?」


「・・・うん」


「まじ?!冗談でしょ?あんななよっちぃのがいいの?!」


相手がフィンだと知りメリッサは大きな声で
信じられない!と叫べば、声が大きいとメリッサの口をふさごうと
立ち上がるルナ

メリッサの大声はさすがのフィンにも
聞き取れた


「なよっちぃ?何の話なんだろう・・・少し近づこう」


気づかれない場所まで行き耳をすませば
ルナたちの会話がかろうじて聞くことができた



「あんなやつのどこがいいの?」


「なんか・・・かわいい・・・」


「あいつなんかにルナは勿体無いわ・・・どう考えても釣り合わない」


もっと他の男を探せと言わんばかりのメリッサの
言い草に少しムっとするルナ

「でも私は好きなんだもん!」


「んー・・・ルナがそこまで好きなら告白しちゃいなよ」


「む、無理だよぉ・・・」


そんな会話がフィンには聞こえていて
フィンの胸が締め付けられるように胸がズキズキ痛んだ

「ルナさん・・・好きな人いたんだ・・・」


ルナの好きな人は自分だとは知らず
フィンはせめて誰が好きなのかをつきとめるべく
しばらく耳をすませる


「ルナに告白されたらさ、あいつまちがいなくOKするわよ」


「なんでそう言い切れるの?」


「あんた可愛いし、あんたと付き合えるなら誰だって幸せだと思うけどねぇー」


「私そんなにモテないよ・・・」


メリッサのその自信満々な態度に
ルナは首をかしげ疑問に思っている

フィンもメリッサの言うとおりだと
誰も見てないないのに頷いている


「マコーレー君このあと訓練でしょ?私たちも同じなんだからさ今度誘ってみ?」


「や・・・できないよっ・・・」


「大丈夫大丈夫、きっと誘いを受けてくれるって」


ルナの背中をポンポンと元気づけるように
叩けば、ルナは顔を赤くし下にうつむく

そして、それを知ったフィンは
開いた口が閉まらない・・・

好きな相手が自分を好きだと知り
フィンは今自分がしていることがとても恥ずかしくなり

その場を離れようと立ち上がる

「はぁ・・・僕って本当・・・弱いなぁ・・・」

テクテクとルナから離れると
自分から告白をするべきだと決意するまでに
時間がかかる

かかればかかるほど、自分のチキンさに
ため息が深くなる


「・・・僕だって男だ・・・やってみせる!」

そう決意をしガッツポーズをとった瞬間


「フィン君・・・?なにガッツポーズしてるの?」


「え?!あ・・・・えええ?!!!」


振り返れば、そこにはさっきあちらで
会話していたはずのルナが立っていた

そしてその恥ずかしいところを
見られ顔がどんどん赤くなっていく


「ねぇ・・・フィン君・・・・」


「あ・・・あ・・・」


「今日・・・暇かな・・・」


ぎこちなく自分を誘うルナに
フィンは「言わなくちゃ」と心で何度も言うが
中々口にできず口をパクパクさせているだけだった


「あ・・・・」


「どうしたの?やっぱ無理?」


「ルナさん!好きです!付き合ってください!!!」



精一杯の気持ちをこめて
お辞儀を深くし手を前にだす

そのいきなりの光景にルナは目を丸くし
きょとんとしていたが

すかさずその手を握り返し
笑顔をみせる


「私も・・・好きです・・・・」



「僕・・・気弱で頼りないけど・・・ルナさんが好きでした・・・」



「私も・・・ずっと、会った時から好きになっちゃいました」



握り返していた手にギュっと力をこめ自分の胸元へと
ひっぱると

フィンは頬を赤くしながら
戸惑いの表情をうかべれば

ルナはクスリとやわらかく微笑む


「フィン君の顔をみるたびに胸が苦しくて・・・」


「それは・・・僕もおなじです」


「今こうして・・・いると、鼓動が早くなるんです・・・でも落ち着くんです」


いまだ自分の手を胸にあてるルナに
正直その膨らみに手があたっているわけで
妙に意識をしてしまうフィンはもうゆでダコのようだった



---END---




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