知らなかった事情と、自信
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休日はどこに行くこともなくのんびりするのが
ルナにとって唯一の至福なひと時だ・・・

そこへ出かけようと持ちかける
恋人ピアーズがいた



「あのね、私休日は家でのんびり過ごしたいの」



「ルナ、それは恋人の俺に対して言う一言か?」


恋人だから何?とそんな表情を浮かべるルナに
ピアーズは肩をガックシと落とす
付き合ってからずっと仕事場がデート・・・そんな事が
毎度毎度続き、正直嫌気をさしているピアーズ。


「まさかと思うけど、どこか出かけたいとか言わないよね?」



「・・・・・」



「図星ね、いっとくけど私は部屋から出るつもり一切ないから」


めんどくさそうに言うルナに
ピアーズは何も言うこともなく、ただ椅子に力なくもたれかかり
深いため息を吐く


「普通、女ならさ服見たいだとか遊園地行きたいとか言うもんだろ?」


「女ならってなに?女なら服買いたいだとか遊園地行きたいとか全員が言うわけ?」


「いや・・・そうじゃないけど・・・」


なんでコイツを好きになってしまったのだろう。
そうピアーズの頭の片隅に思うのだが・・・

「どっか出かけたいなら一人でいけばいいじゃない・・・」


「なぁ、なんで家から出ようとはしないんだ?」


「言ったでしょ?休日はのんびり家で過ごすのが私の至福のひとときだって」


ずっとそれしか言わず理由すら教えてくれない
そんなルナに少々不満を感じるピアーズ
時折見せる悲しそうな表情がピアーズの視界には写っており
なにかきっと理由があるはずだと、ピアーズは考える


だが、質問の内容を変えても
中々理由は述べてくれない


「俺たち付き合ってるだよな?」


「確認すること?」


何を言うにも噛み付いてくるルナに
ピアーズは眉間にしわをよせ、机をバンっと強くたたけば
ルナの両肩がビクンッと跳ね上がるのが見えた

「すまん、いきなり怒鳴って」


「・・・別に、気にしてない」


やはり、悲しそうな表情をしながらも
気にしてないと強がりをみせるルナの前に来て
目線を合わすようにしゃがむピアーズ


見つめるピアーズの瞳から逃げようと
顔ごと横へ反らせば、顎をつかまれピアーズの方へと
無理やり向けさせられる



「なぁ、なんでそんな悲しそうな表情するのに、強がったり隠し事をするんだ?」


「べつに・・・関係ない」


「関係ある!お前の気持ちがイマイチつかめない」


うっすらと涙を浮かべるルナ
顔をそらそうと逃げようとするのを
逃がさないと、顎を掴む指に力をこめれば
次第に、抵抗をやめる

「・・・バカにされるから・・・」


「誰に」


「あなたのファンに・・・」


ズッっと垂れそうになってる鼻水をすすり
涙がポロポロと流しながら言うルナにピアーズは
指の腹で涙を拭ってやる


「どう、言われるんだ」



「あなたとピアーズじゃ釣り合わないとか・・・」


「言わせておけばいい、惚れたのは俺の方だ」


「恥をかかせたくないの・・・言われてることも事実だし・・・」


しゃくりあげながらも必死に言うルナの背中を
さすりながら抱きしめてやると
ルナの腕が自分の背中に回るのがわかった


「なんでアンタなんだって・・・私より可愛くないのに・・・とか」


「気にするなって」


「理由がないから・・・出かけるのが怖くてあんな態度とっちゃってごめん」


「そういうことだったのか・・・」


はじめて聞くルナの周りで起きたこと
いままで自分にみせた態度も納得がいったピアーズは
ルナを抱きしめる腕に力を強める



「ルナそういうことは相談していいんだ、そのために俺がいるんだ」


「うん・・・ごめんね」


「何も理由がわからなかったから俺もいろいろ冷たくして悪かった」


「いいの・・・」


よしよしと涙でぐちゃぐちゃになってるルナの頭をなでると
ルナはさらに涙を流す
それに驚きピアーズは頭を撫でるのをやめ、どうしたらいいのか
わからずきょとんとするしかなかったが

ルナは「嬉し泣きだよ」とピアーズに抱きつく
それに応えるようにルナの腰に腕を回し


「何を言われようと自信を持てばいい、相手を悔しがらせるぐらいにな?」


「できるかな・・・」


「できるさ、だから胸を張って「いいだろー」って見せびらかしてしまえばいいんだ」


「ふふ・・・今度やってみる」


本日初めてみせた笑顔。
それは迷いひとつない笑顔だった



---END---




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