あなたの罠
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「ハンク」

「なんだ・・・」


ガスマスクを被り出撃の準備をしている
ハンクに声をかけるルナに対し
手を止めることもなく顔を向けるわけでもなく返事をすると


「私・・・この部隊から抜けることになったの」


「・・・・そうか・・・それは残念だ」


上が決めたことなら仕方がないと割り切る
その態度にルナは少しショックの顔をみせる

「ごめんね」


「なぜルナが謝る、仕方がないことだろ?」


「そうだけど・・・今まで一緒に任務していたから」


「良き相棒だったと、俺はそう思う、だが別に顔を合わせないわけでもない」


そうだけど・・・と小さな声でつぶやくが
ハンクにはそれは聞こえておらず、ルナはただただ下を向くしかなく

「私ずっとハンクに憧れてようやくあなたの下で働けるようになったというのに」


「だが、私はどうすることもできないぞ」


「・・・冷たいんですね」


上からの命令ではいくらハンクでも
その命令を覆すようなことはできない、そんなことはルナでもわかっているはず
だが、今までの成績はハンクあってのこと、それがなくなり
続けていく自信とこれからどういう道にすすむのかが不安だった


「・・・すまないな。やはり隠し事はよそう」


「はい?」


「それの依頼は私がした」


「・・・・え」


耳を疑うような事だったのだろう
ルナは驚きと目に涙がにじみはじめる
もう必要がなくなったのかと・・・呆れてしまったのだろうかと
色々な不安がルナを襲う


「これ以上お前を危険な任務につかせるわけにもいかない、お前は俺の弟子のいるウルフパックへ移動だ」


「どうして?!私が出来損ないだからですか?!」


「そうじゃない!だが分かってくれ。。。この先の任務は危険すぎるんだ」


いくつかの危険をくぐってきて
ようやくここまで這い上がってきて、それはないだろうとルナは
強く思う、だがそれをあろうことか目の前の男は阻止を求める


「私がお荷物ということですか」


「だから違うと言っている。私はお前を失いたくない気持ちがそうさせたのだ」


「え・・・」


「言わせるな」とハンクはぶっきらぼうにつぶやく
まさかハンクの口からそんな言葉がでるなんて予想だにしなかったルナは
ポカンと大きな口を開けて放心状態



「いいか。俺の弟子のいるウルフパックに所属しろ」


「ハンクらしくない言葉が聞こえたけど・・・」


「忘れろ・・・」


話をそらしハンクは忘れさせようとしたが
嬉しいのだろうかルナはその話を掘り返す


「ウルフパックにさえ所属すれば私とも会える、安心しろ」


「ハンクのこと好きでいいの?」


「構わん・・・いずれお前は私の妻となるんだ、怪我だけはするな」


「・・・・なんだかくすぐったいなぁ」


出撃の時間が迫り
点呼の声が聞こえると。ルナのほっぺに手を置き
なでればくすぐったそうに目を細めるルナに


「帰ったら、存分に可愛がってやろう」


と耳元にささやけば
ルナの顔はもうまるでゆでダコのようだった



---END---




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