キュートボーイ
bookmark


「はぁ・・・疲れた」

「なんだもうバテたのか」

「ピアーズ・・・あんたは相変わらず元気ね」

近くのベンチに座り
タオルで顔にまとわりつく汗を拭きながら
水分を補給しているルナにピアーズも隣に座り
同じく水分を補給する


「新人が少しゆるゆるな奴がいてな」


「ん?ゆるゆる?」


「そうさ、この職業に向いてないんじゃないか・・・そう思える人物だ」


「へぇ・・・」


ピアーズは今新人教育をしていて
その中の1人がゆるい感じの新米だそうな
ペースが狂うと頭を悩ませ、ある意味疲労を感じている


「会ってみたいな」


「は?・・・あそこにいるフィンってやつだ」


ピアーズが指をさした方向に視線をうつすと
ニット帽を被り銃の手入れを習っている姿が目にはいる

「ほかの子とちがってちょっとのろいわね」


「だろ?あいつだけが遅れをとってるんだ・・・」


「なんか・・・可愛い」


「はぁ?」


「母性本能ってやつ?」


クスッと笑うルナに
呆然とピアーズはその横顔を見つめすぐに
フィンのほうへ視線を戻す


「だったらお前が面倒みてやれよ」


「あなたの仕事でしょ?」


自分に任された仕事はちゃんと最後までしなさい
そんな母親みたいな言い方をするルナに
若干、腹を立たせるものの、仕事だから仕方が無いと踏み切る


銃の手入れの練習が終わったのだろうか
続々と銃を元の場所へ戻す新米兵士


「呼んできてやるよ」

「あ・・・ちょ!」

静止の声を聞かずピアーズはフィンのほうへ走っていく
止めるために前にだした手の行き場を失いゆるゆると下へ下ろす

ピアーズに呼び止められたフィンは
ルナのいる方向へ歩み取ってくるのがみてとれる
ピアーズは笑いながら離れていく姿もおまけに目にし

「あのヤロウ」と心で思っていれば
もうすでにフィンが目の前に立って


「あ・・・あの・・・」


「あ・・・君がフィンくんね、私はルナよろしく」


「は、はい!よろしくお願いします!」


ビシっと敬礼をし元気よく挨拶するフィンを目にして
ルナはいままでこんな子がいなかったのだろうか
笑うのを必死こらえながら手を差し出す

それに気づいたフィンが
手をだし握手をする



「そんなに固くならなくていいよ」


「で、ですが!」


「力はいりすぎ」


真面目すぎるフィンは肩に力がはいりすぎていて
緊張しているのが見て取れ
肩に手を置いて力を抜けさせる


「銃の訓練とかどう?」


「ま、まだ難しくて・・・うまくいかないです」


眉を下げ、肩を落とすフィン
みんなのようにテキパキできない自分がにくいのか
こぶしを震わせながら握っているのを見て


「ゆっくりでいいよ、はじめはみんなそうだよ」


「でも・・・」


「私も入りたてはそうだったよ?みんなよりやることがノロくて先輩たちにどやされてたもの」


「そうなのですか?」


苦笑いを浮かべながら話すルナに
フィンは不安がとれたのか表情が少し明るくなる


「先輩上司になにを言われようが自分のペースで構わないよ。少しずつ早くする努力が大事だから」


「勉強になります!」


メモを取り出してメモをとってるような
そんな感じが思い浮かぶようなフィンのその行動にさえ苦笑いをうかべる
そんな彼がなんだか可愛く思え


「やっぱり弟的存在ってにおいがプンプンするね」


「え?!そうなんですか?!」


驚いたフィンは自分の腕や服などの匂いを
嗅ぎ始め、それにきょとんとせざるを得なくなったルナは
「天然」という2文字が頭に思い浮かぶ


「ルナさん・・・匂いがわかりません」


「ま・・・うん、そうね」


予想だにしないフィンの行動や言動に
苦笑するしかなく、話題を変えようと頭で考えていると

「ルナさんは・・・どうしてボクを呼んだんだですか?」


「え・・・あぁ、挨拶しておこうとおもって」


「だったらみんな呼んできましょうか?」


「え・・・ううん、そうじゃなくてピアーズから聞いて気になって」


「ピアーズさんが?」


小首をかしげまだなにか疑問なのだろうか
少し考えてる様子が伺える


「でもなぜピアーズさんが・・・」


「ま、まぁ新米がいてゆるゆるな子がいるって聞いてね、それで」


「ボクはやはりゆるゆるなんですね」


ガックリと肩を下げるフィンに
「あぁ、元気だしてよ」と一声かけるが
ため息をつかれ


「私が・・・見てあげてもいいよ」


「え?」


「訓練とか」


「ほんとですか?!」


顔をバッと上げるフィンに驚き
一歩下がってしまったルナだが

キラキラした目を見て
すぐにルナは微笑み


「えぇ、私でよければ・・・ね?」


「もちろんです!」


相当嬉しいのだろうか
バっとルナの手をとり頭をガバっと下げるフィン

驚いてばかりのルナだが
自分を頼りにしてくれるのはとても嬉しく思え
フィンの手を握り返す


「やっぱ可愛い」


「え?」



なんでもないよっと微笑んで
「訓練するよ」と呼びかければ
元気な返事がかえってきた


---END---


prev|next

[戻る]
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -