ただの変態じゃない!
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「いい加減にしろ、何のためにやったのかわかったもんじゃねぇ」


「なっ・・・急にこんなことされて受け入れられると思ってる?!」


「みりゃわかるだろ!」


毎回毎回いがみ合う二人に
ほとほと呆れているのは二人の師である
ハンクだ・・・
二人の喧嘩をただ黙って見守るしかなく、ため息すら
二人の耳には届きはしなかった


「これが俺のお前への気持ちだってなんでわからねぇ」


「はぁ?ただの嫌がらせじゃない!」


ハンクはちらりと揉め事のタネを見やれば
「確かにこんなのを送られては嫌味としか受け取れない」ハンクでさえ
そう思う物であり
当然ルナは受け入れようともしない


「ベクターが変態だってことがよーくわかった!」


「誰が変態だくそ尼!」


「だれがくそ尼よ!」


「目の前のお前がだよ!」


まさに売り言葉に買い言葉・・・
下着を贈り物にする奴がどこにいる・・・あぁ、ベクターか・・・
そう内心で思いつつもハンクは
頭を抱えてこの二人をどうするか悩んでいる


「なんで下着なのよ!」


「似合うと思ったからだ!」


「似合う?!嫌がらせ?確かに私は色気もくそもないけど!」


「これを勝負下着にすりゃモテないお前でもモテるだろ!」


「あーそう!尻軽女になれっていうの?!」


「だんだん下品になってきてるぞ・・・お前たち」そんな言葉も
二人には届かない。
殴り合いにはならないだけマシだが・・・


「そういうんじゃねえよ!お前が好きな男ができたときに着りゃいいんだよ!」


「あーそう!ねぇ!マスター!私がこれを着たら抱いてくれますか!」


「急にふってくるな」と言わんばかりに
ルナの方へ顔をみやるハンク


「・・・私に聞いてどうする・・・」


「どうなんですか!」


「・・・あぁ・・・」


「ほらみろ!」


「黙れこのゲスチン野郎!」


男ならこの下着を着た女性は魅力だ!だと言わんばかりの
ベクターの言動に腹が立ち
口がどんどん汚くなっていくルナ

自分の意見はなんだったのだろうかと
唖然とするほかない


「じゃぁ、なにベクターはほかの女性がこんな下着きてたら抱くっていうの?女ならなんでもいいの?!」


「別にそこまで言ってねぇだろ」


「そういうことじゃない!」


「どういう見解だよ!」


だんだん悔しくなり
涙をこらしながら反抗すれば

ハンクに静止される


「もう、お互い素直になれ・・・見てるこっちが疲れる」


間に立ち、静止を求めるハンクに
お互いの口は閉ざされる


「ベクター・・・私から言わせてもらえばただの変態だ」

「なっ」

「ルナ・・・女にしては口が汚すぎる、私に意見をふるな」

「すいません・・・」


ようやく場は静まり
お互いの気持ちが落ち着くまで黙って見守ると
最初に口を割ったのはベクターだった



「ルナに似合うと思って買ってきたのは事実だ・・・これ着てくれたら嬉しいとそう思った」


「・・・・下着じゃなくてもいいだろう」


「そうだが・・・思いつかなかった」


頭をガシガシかきながら
照れくさそうにそっぽむくと

「私も言いすぎたよ・・・ごめん」


「いや・・・」


どうやら仲直りをする雰囲気になり
ハンクはその場を後にした


「ただ・・・私に着けてほしい理由はわかったけど・・・」


「なんだ」


「こんな仲だし・・・ね」


気まずそうにして
言うとベクターはフッとほくそ笑む


「オレだけに見せてくれたらそれでいい・・・」


「・・・・・」



「正直に言えば・・・俺はお前のこと好きなんだ」


「素直になかなかなれないけど・・・私も・・・好きだよ」



顔をそっぽむけながら
ベクターの裾をギュっとつかみながら答えると
恥ずかしさのあまりベクターの胸にデコを当てる


「たまには可愛いとこあんじゃねぇか」


「・・・うっさい」



---END---


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