常識をくつがえして
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ドシン...ドシン...


「うぅ・・・逃げたい・・・逃げたい」


ゾンビに囲まれてどうしようもない
逃げ場もなくなり人生最大のピンチを迎えた私はルナ
そこに大きな足音が聞こえる


ドシン...


さっきの巨人・・・かな・・・


ガシャァアン・・・


窓ガラスが割られた音だとすぐに気づいた

「・・・・」

見つかりたくない・・・そう思ったや否や

ヒギャァアア

何かの生物の声だ・・・
机の隙間から覗き込むと・・・

半魚人みたいな生物がいた・・・
でかい人間から逃げれたとおもいきや今度はコイツ・・・

ゾンビはうじゃうじゃ
おまけに半魚人、近くにはあのでかい人間


ガタンガタン・・・と机らをかき分けるように
どかしていく半魚人

ついに私の机までたどり着き

ガタタッ


ヒギャァアァ


「ひぃぃいいいっ?!」


もう逃げ場はない・・・腹をくくるしかない
そう思い目を思いっきりつぶる・・・


だが一向に痛みを襲うこともなく
うっすらと目をあけると黒いズボンにでかい足
そしてモスグリーンのコート・・・


そう、さきほどから追い掛け回されていた
大男である


「・・・・っ」


「ダイジョウブカ?」


「え・・・しゃべった」


ゾンビやさっきの半魚人はしゃべることすらしない
おまけに生存者をあれほど殺していたこの大男は
なんといったのでしょう・・・ダイジョウブカ?


いやいや・・・



「えぇ・・・まぁ・・・」


「名前ナントイウ・・・」


「ルナ・・・ルナ」


「ルナ・・・逃ゲル・・・乗レ」


カタコトで何を言っているのか
理解するまでに時間かかるだけど腕を差し出されて
それに捕まると


肩に乗せられる


「わぁっ・・・」


「ルナ守ル・・・可愛イ・・・」


「え・・・あ・・・ありがとう・・・」


なんとも・・・難しい・・・
というか複雑・・・助けてもらってなんだけど・・・
化物に好かれたってことよね?


嬉しいような悲しいような
複雑な気持ちでいっぱいだけど


ゾンビ達に食べられずに済むと考えれば
ラッキーなのかもしれない


「あ・・・あのぉ・・・」


「何ダ?怖イノカ?」


「名前ぇ・・・」


そう、名前がわからない
だから呼びようがない


「タイラント」


「よ・・・よろしくね?」


専制君主・・・暴君さまざまな意味合いがあるけど・・・
怒らせたらやっぱすごいのだろうか・・・

そう思うと震えてきた


「ルナ・・・コノ先、通レナイ」


すると小さいダクトがあり
タイラントでは入れない場所だった・・・


「この中にはいらなきゃ進めない?」


「ソウ・・・ソコノ中ニ食料アル」


たしかにくすんで見えないけど
スーパーのようね・・・


「ちょっとまって。。。あさってくる」


「気ヲ付ケテネ」


なんだかもどかしくて
笑えちゃうけど、小さなダクトから中へと侵入すると


ペチャペチャ・・・という粘着質な音が
そこらで聞こえる・・・


「タイラント・・・中になにかいるよ・・・」


「気ヲツケテ、足音タテチャダメ」


それしか言わない・・・
こればかりは早く済ませたほうがいいのかもしれないね・・・


もってたカバンに
入るだけの食料を詰め込む


さきほどから音が徐々に大きくなり
近づいてきていることがわかる



この辺でいい・・・そう思ったら


「足音タテタラダメ」

その言葉を思い出し
忍び足でタイラントのいる場所へと移動する

ダクトに手をかけよじ登り
カバンを外に放り投げると


ネチャネチャっとすごい早い足音に変わる

そして、


「キャァッ・・・」


足になにか巻き付く感覚になり

「うぅ・・・・」


「ルナ!手ダス!」

タイラントにひっぱられ
危うく体が半分になるかと思った・・・



「イタタ・・・」


「大丈夫カ?可愛イルナ」


「あ・・・あはは」


柄にも合わないセリフ・・・
なんだか情が湧いてきたのだろうか・・・可愛く思える

だけど、いつまでも一緒にいるわけにもいかない


「タイラント・・・私ここでは暮らせないんだ」


「ドウシテ・・・オレがルナ守ル、ズット一緒」


そんな悲しい顔をしないで・・・


「私は人間、あなたは人間じゃない」


「ダメダ、ルナハ、誰ニモワタサナイ」


「タイラント・・・私たちは相容れない存在なの」


「ルナハ、オレノコト・・・嫌イ」


「嫌いじゃない・・・だけど」


おかしいな・・・私。
嫌いじゃないけど好きでもない・・・何故これが言えないのだろう

好き・・・という言葉に抵抗を覚える
抵抗というか、違う意味で・・・


「オレハルナノコト愛シテイル」


「ねぇ、タイラントそんな言葉どこで覚えてくるの?」


「本能」


人を痛めつけたりするのが本能だと
私は思っていた


「でも・・・私たちとは一緒に住めないのはわかるよね?」


「オレガ人間ニ手ヲダサナイ、約束スル」


「う・・・うん、でもみんなは怖がっちゃう」


普段私はモテないからだろう

悪くない・・・って思ってしまうあたりが・・・



「オレ・・・ダメナノカ・・・」


「ごめんね」


「ドウスレバルナト一緒ニナレル」


諦めてないところがすごい・・・
そこらへんの男よりまっすぐで一途・・・


気づいたら私はそんなタイラントに
惹かれていたのかもしれない・・・



「安全で人気のない場所・・・そこなら大丈夫」


「ジャァ探ソウ・・・愛シテル」


「ありがとう、タイラント」


笑うとタイラントは安心したのか
にこやかに笑う・・・まぁ、ちょっと怖いかなぁ〜


チュっとほっぺにキスしてあげれば

「・・・」


「あ・・・嫌だった?」


「・・・」


なんとか言って〜〜〜って思うけど
何か様子がおかしい


すると

「んぐぅっ?!」

でかいその顔が目の前にきたかとおもえば
すごい勢いでキスをされる・・・


だけどでかいせいで・・・息が・・できない・・・
鼻までふさがれてちゃ・・・そうすることもできない


「んはぁぁっ・・・死ぬかとおもった・・・」


「ルナノ唇甘イ・・・モットシタイ」


「やー・・・うん・・・苦しいからぁぁんぐぅぅうっ」


終いにはベロリと
顔を舐められなんともいえない状況・・・

こんな二人でも
幸せを築けるのか不安です・・・



---END---


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