楽しんだもの勝ちだと思わない?
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「ねぇ、死神」


「その名で呼ぶのをやめろ」


「じゃぁハンク」


仕事にとりかかる私の肩を叩きながら
馴れ馴れしく話してくる女はひとりしかいないルナだ


「これから任務だ、忙しい」


「また任務任務ってかったいおっさんだねぇ〜」


「仕事だから仕方があるまい、そんなことよりさっさと支度をしたらどうだ」


これから任務だというのに
目の前の女ときたらだらしないラフな格好をしている


「まったく、任務をなめてるだろ」


「まったく?いやいや出撃までまだ2時間前じゃない」


「2時間などあっという間だろ、準備は前々からしておくものだ」


あーまた説教ですか・・・と両耳を手で塞ぐルナ
やかましいと言わんばかりの不満そうな表情を浮かべるぐらいなら
私に近寄らなければいい話だ


「ハンクさー?それで満足?あなたの人生」

「何が言いたい」

「ハンクの脳内は仕事仕事仕事でしょ?たまには息抜きしたら?」

「気を抜けば命を落とす任務だぞ、そんな甘ったるい考えなどしてられるか」


最近はいってくる者は甘ったれた考えばかりだ
この女といい部下といい、呑気だ

だから負傷する、命を落とす
重要なのは生きて任務を遂行することだ

「ハンクはさ、せっかくかっこいいんだから恋愛の1つや2つすればいいのに」


「恋など愛だのうるさいやつだな」


「だからモテないんだよ、もったいない」


どうでもいい・・・
誰がどのような人生を歩もうが


「まぁ、まったくモテてないわけでもないけどね」


「どういうことだ?」


「なに、興味あるの?」


「・・・」

そんなことを言われれば気にならないわけでもない
こんな私に思いを寄せる人間などいたものか。。。

まぁ、どうせ変わり者だろうとは思うが

「へー・・・任務第一の男が、興味あるとはね?やっぱモテないことに嫌気さしてたんじゃ?」


「黙れ、さっさと準備をしろ」


「図星なんだ、死神も可愛いところあるじゃない?」


こいつ・・・楽しんでやがる


「そんなお前は好きな奴などいないだろうが」


「え?いますよ?」


「・・・・・」


いるのか・・・一体誰だ・・・




いやまて、何故気にする理由などあるのだろうか
わけがわからん


「じゃぁ、そいつにアプローチすればいいだろ」


「十分アプローチしてるつもりなんですけどね?」


・・・・あぁ、腹が立ってしょうがない
こいつの顔をぶん殴りたくてしょうがない

なんでルナの顔を殴らなくちゃいけない
その男にだ・・・はぁ・・


「・・・で、どうなんだ」


「鈍感みたいですよー?人生損してると思いません?」


なんでニタニタしてこちらを見るんだ
腹が立つ


「任務の準備の邪魔だ・・・」


「なに、急に怒るんですか!」


「お前といると調子が狂う」


すると、あろうことか
大爆笑をしはじめるこの女!
いや・・・まて・・・本気になってどうする


「気になるんでしょ?私が好きなのはアナタですよ死神」


「・・・・」


は?いまなんて・・・


「聞こえませんでしたか?ハンクあなたですよあ・な・た」


「・・・何故私なのだ」


「任務もいいけど、人生楽しまなきゃ」


理由は述べないのだろうか私に抱きつき
顔をあげればにこやかに笑う


「やっぱお前といると調子が狂う」


「いいじゃないですか、トゲがなくなるって」


「・・・・」


「任務も大事、プライベートも大事ですよ?」



どうしたらいいものか・・・まだ私はわからない
だが、間違いなく思えるのは
私もルナのことを好いているということだ・・・


「私といて後悔はしないのだな?」


「えぇ、もちろん」


「・・・・少し時間はある、このままでいさせてくれ」


「ふふっ」


本当・・・どうしてしまったんだろうな?


---END---


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