能ある鷹は爪を隠す
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「ルナ今日は予定でもあるのか?ないなら俺と食事でもどうだ?」


「え・・・?特にないと思うんだけど・・・」


「じゃぁ、決まりだな、いいバーがあるんだ今夜オレの部屋で打ち合おう」

ベクターはそういって
すぐに待機所を後にするが・・・そこにいたのはこの二人だけではなく
ルナの恋人でもあるスペクターもそこにいた


「なんだ、ベクターとデートか」


「デートじゃないよー、いいバーを紹介してくれるんだしせっかくだから行こうかなって」


「ふーん・・・そうかい、せいぜい楽しんできなよ」


どんなバーなのか楽しみにしているルナに対して
自分の気持ちを一切組み込もうなんて思いやしない・・・そんな風にとらえた
スペクターは嫌味たらしくそう告げる


「スペクターは行かないの?」


「あぁ」


「そっか」


スペクターが来ないことを知り
少ししょげるルナの表情を見てはニヤリとガスマスクの下で
ほくそ笑むと


「あぁ、そうだオレは今夜例のバーに顔出す予定だしな」


「え?・・・まさか・・・あの女の人に会いにいくの?」


「あぁ、そうだ」


スペクターのことを好きだと言い寄る女がいるそのバーに行くと知ったルナは
不安でしょうがないのか
涙を浮かべはじめると


「行かないでよ・・・」


「なんでだ?お前はベクターがいるだろ?」


「・・・ベクターは仲間だし・・・」


「オレだってあの女は知人さ」


仲間とはいえど相手は男
万が一ベクターがルナに思いを寄せていたならば・・・

そう思えばスペクターは気が気でない
だけど表上平気な顔をするものだから
ついルナは、いいものだと捕らえてしまった

「行きたければ行けばいい、俺はその女に会う」


「・・・スペクター・・・」


「行きたいんだろ?ルナがそうしたいっていうならオレは止めたりしないさ」


そういいながらルナに近寄り
壁に追い詰めたと同時にルナの頭横の壁にドンっと
手をやると
それに驚き肩をビクつかせるルナ


「そのかわり、もう二度とオレの前に顔を出すな」


「・・・・・・っ」


まるで悪魔をみてるかのようにおびえきってるルナは
言葉が出ずそのまま涙をこぼし、終いには泣きじゃくることに
その様子をのどを鳴らして笑うスペクター


「どうした?泣くほど辛いのか?」


「・・うっ・・・えっぐ・・・わ・・・たしは・・・スペクターと・・・一緒・・・がいい」


「ベクターじゃなくていいのか?」


一生懸命にしゃくりあげながら
話すルナに心で「計画通り」と思いながら優しくルナの頭をなでる

「ごめん・・・なさい・・・スペクター」

「いいさ、分かってくれれば、もちろんオレはあの女に会ったりはしない」

「ほんと・・・?」

「あぁ、もちろんさ」

涙でぐしゃぐしゃになってるルナの顔を指で
ぬぐいながら優しく微笑みをかえすスペクター


「だけど、今夜は・・・寝かさない」

「え・・・」


そういってスペクターはルナを抱きかかえ
口端をあげながら自室へと向かう


(まぁ、当然あの女に会う約束なんてしてないんだけどね)



---END---




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