気弱な君でも強いところあるんだね
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「フィン!」


「あ、ルナ!」

爆弾の設置方法を一人黙々と
覚えていたフィンに、サンドイッチを片手に食べながら
呼びかけるのはルナ


「C4勉強中?」


「うん・・・でもやっぱ時間かかっちゃうなぁ」


「フィンは昔っから鈍臭かったもんね」


「そんなこと言わないでよ」


ムスっとした表情でC4をいじりだすフィンに
クスクスと笑うルナ
この二人は同時期に入隊してきた新人で
ルナは衛生兵として働いてるが
フィンは工作員として入隊

そして昔からの古い友人でもある


「でもさ、フィンが工作兵になるとは思ってなかったなぁー」


「え?」


「だって気弱な性格じゃない?爆弾だなんて」


「まぁ・・・少し怖いかな・・・だから慎重にやってるんだけど」


カチャカチャとC4をいじっているが
慎重になりすぎて設置までに時間と手間をかけすぎている


「そんなに手間取ってると敵にボカーンされちゃうよ〜」


「急かさないでって!」


「そんなに難しいことなの?それ」


「扉だけを破壊するのにはこれがうってつけなんだ」


「それでこの試作の鉄の扉を開けるのに何分かかってるのよ」

扉を爆破するのに
5分以上経過

「出来た!下がって!」


「うぉお・・・今?!」


扉に設置をして
起爆する時間までに離れると

その設置式爆弾が爆破し
扉が空いた


「やった!」


「手間取りすぎだ!」

「?」

「あ、ピアーズさん」


そこへ、ずっと背後から見ていたのか
怒りの形相でこちらに歩んでくるのは
フィンの上司であるピアーズだった


「一体扉を破壊するまでにどれだけかかってるんだ!」


「す、すいません」


「2分以内にやってのけるまでお前はずっと練習だ!」


「はいっ!」


ビシっと叱りつけたあと
ピアーズはそのままどこかへ去っていく
フィンは少ししょんぼりしながら

新しい爆弾を取り出す


「あれが上司?」


「そうだよ、ちょっと厳しい人だけどね」


「・・・かっこいい人じゃない」


「・・・え?」


思わない言葉が返ってきたことに驚いて
顔をあげれば
ほんのり頬が赤いルナの顔が目にうつった


「いいなー・・・あぁいう上司」


「・・・・」


「フィンが羨ましいよー私の上司は顔はいいんだけど・・・性格がなぁー」


「・・・・」


「フィン?」


先ほどから黙り込んで返事が返ってこないことを
疑問に思い
フィンの顔を覗き込むと
少し怒ってるような表情がうかがえて


「何ムッとしてるのよ」


「ルナは・・・ピアーズさんのこと好きなの?」


「え?どうして?」


目が合うとフィンはうつむきながら
質問をすると、質問の意図がイマイチつかめずにいて
頭の上にクエスチョンマークをいくつか浮かべるルナ


「だって・・・さっきカッコイイって」


「まだ1度会っただけじゃわかんないよ」


「・・・・ボクじゃ・・・駄目なの?好きに・・・なれない?」


声を震わしながら聞いてくるフィンに
ルナはようやく理解できたのか
クスリと微笑みフィンの頭を撫でる


「・・・ルナ?」


「頼りないし、気弱だし・・・だけどほっとけないフィンだけど・・・私だって好きだよ」



「それは本当?ピアーズさんとは。。。性格全然違うのに?」


不安なのか
ピアーズの名前を出すフィンに
ルナはフィンに抱きつけば
腕を巻きつけ抱き返すフィン


「よかった・・・いつも僕はルナだけ見てたから・・・」


「そうだったの?・・・なんだかテレちゃうね」


「ルナはボクが守ってみせるよ」


約束すると言って
ルナの唇に触れるだけのキスをして
微笑むフィンがルナにとって輝いて見えた瞬間だった



---END---


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