誰かのものなら奪えばいい・・・そうだろ?
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「スペクター・・・」


「なんだ?」


「私たちどうしたらいいのかなぁ・・・」


「なんだ、急に」


PCをいじるスペクターに問いかけるのは同じウルフパックのルナ
待機所には二人しかおらず

キーボードを叩く音と時計の針の音が
鳴り響く


「ベクターさ・・・最近かまってくれない」


「なんだ、欲求不満なのか?」


「な!別にそういうんじゃ・・・ないよ」


挑発的な言い方につい声をあらげてしまうルナ
その様子を見てククっと喉を鳴らして笑えば
面白くない表情をうかべる


「だが、なんでそれを俺に話すんだ?」


「あなたしか・・・今いないから」


「まぁ、いいが愚痴ならいくらでも聞いてやるよ」


「ありがとう」


色々とベクターへの不満をしゃべっているルナとは
裏腹にスペクターもベクター同様ルナに
惚れている
内心複雑ながらも好きなルナの話はしっかりと聞いてやる


「俺はお前とベクターが別れることについては反対しないぜ?」


「え?」


「あぁ、あと愚痴はいくらでも聞いてやるって言ったがタダとは言ってないぜ?」


「え!お金とるつもり?!」


ふざけないでよ!詐欺よ詐欺!
そう怒り出すルナだが

スペクターはそのままルナの前に
立ちふさがる


「誰もお金とは言ってないだろ?」


「じゃぁ、何よ」


「こういうことだ」


「━っ?!」

そう言ってルナの腕をとり
そのままルナの唇を自分の唇とくっつける


「ちょ!!・・・ふざけないで!」


「ふざけてなんかないさ、俺はいつだって本気さ」


「それって・・・」


「まだわからないのか?」


スペクターの真意がまだ理解しきれてないルナは
頭の中は大混乱だ

その様子がおかしくて
ついつい喉を鳴らして笑う

「ベクターと別れるのは俺にとっては大都合なんだよ」


「スペクター・・・?」


「ルナ・・・お前は今日から俺の女になれよ」


手をそっとルナの前に出す
ルナはその手を見つめながら
考えていると


「でも・・・まだベクターのこと・・・」


「まだ言うのか??あんなに不満つぶやいていたのに」


「・・・・」


それを言われると
何も言えなくなったルナは
下を向いてしまった



「じゃぁ、これで決まりだな」


「え?!ちょ!!!」


我慢しきれなくなったスペクターは
腕を引っ張り強引にキスをする


抵抗を試みるも
意外と力のあるスペクターに驚きながらも
必死に逃れようとする

そして舌を挿入され
息苦しさが混同し思考が薄れていく

しかし逃れようとすればするほど
スペクターの舌がさらに追いかけてきては
吸いつかれ

ついには


「・・・んはぁ・・・・・・ふぅ・・・・」


「なんだ、もう力つきたのか??」



力なく床へへたれこむルナに対し
立ったまま見下しているスペクター


「・・・・はぁっ・・・・はぁ・・・」


「いいか?無理にこの先をしようとはしない、もう一度チャンスをやろう」


うつろな目をスペクターにむける
ニタニタと笑ってもう一度手を差し伸べてくる


「ベクターのところに戻らず俺のところにおいで」


この手をとらなければ・・・
この先どうなるかは想像ができているルナは

そろそろと手をスペクターに伸ばせば


「決まりだな」


満足そうに笑うスペクターの笑みが
ルナにとっては悪魔の微笑みにしかみえなかった




---END---




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