そう・・・はじめからだったんだ・・・
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「白兵戦を得意としたな」


「はい・・・」


「手合わせ願おう」



すべてはここが始まりだった。
ただの傭兵だった女が今じゃ俺の片腕だ。
初めは弟子にし、共に任務をこなし
気づけば右腕という形に


白兵戦の手合わせ
彼女は私よりナイフや体術すべてにおいてトップだ
だが、銃撃戦となれば話は別。


「銃の腕前はその程度なのか」


「はい・・・申し訳ありません、射撃が苦手でして・・・今までは暗殺の任務をこなしていたので」


傭兵のくせに、暗殺部隊にいたとは・・・
正直驚かされた。ただの傭兵ではない、それだけだった。


このアンブレラ保安警察のついた以上
白兵戦だけではやっていけまい・・・


今となっては私の訓練のもとで
的確に自分のものにしていき、射撃もそこそこの腕前にはなってきた

覚えが早く、動きがなにより綺麗だ
女独特の柔軟な動き・・・

「マスター・・・」


「どうした、もう終わりか?」


「とうの昔に・・・・先ほどから呼んでいましたが・・・」


「・・・・すまない、考え事をしていた」


ついに私も年なのだろうか・・・
弟子の成長に喜びを感じているのは確かだ
だが、なぜだろうか・・・それならベクターだって同じのはず

ボケっとするほど
私は・・・彼女に特別な思いを感じているのだろうか・・・


確かに、あの動きには見入ってしまったのが原因で
彼女をこの部隊へ招きいれた。
つまりは。。。はじめから-----



「マスター?お疲れでしたら私はベクターに見てもらいますが?」


「いや、疲れてはいない・・・」


ベクターとの過去は思い返す程何もないわけではない
だが、なぜ彼女のことばかりを思い返すのだろうか・・・



「ルナ・・・一つ聞きたい」


「はい、なんでしょう」


「私はおかしいのか?」


「・・・おっしゃってる意味が・・・」


それもそうだ、自分がおかしい?などと問われれば
だれだってそう思うだろうな
どうかしてる


「なんでもない・・・すまなかった」


「なんでもないはずはないと思いますが」


「・・・・」


何もかも見透かされてるのだろうか
まっすぐな目でルナは私を見つめる

「マスターのことならなんだってわかります」と
ずっとそばに居たから分かる、そんなことを言われると
私はルナの何もわからない・・・情けない師匠だ


「マスターが周りの動きに集中できないなんて考えられません」


「・・・そうか」


「訓練中は実践だと思えとあれほど言うお方です、何かあったのでしょ?」


まるで小さな子供をあやすかのように私の顔を覗き込む
だが、今の私の気持ちは自分でも理解できない
伝えることも難しいことだ


「ルナだったら・・・どう考える」


「どう考えるとは?」


「ベクターとルナという弟子がいて・・・成長を楽しみにしているのは事実なんだ・・・」


自分の思ってることを整理しながら
ルナに話すとルナは、真剣な眼差しでこちらをみながら
頷いてくれる

「だが、ベクターとの過去のことなど振り返ることはない・・・・」


「でも、私の過去を振り返ってしまうと、おっしゃいたいのですか?」


「そうだ」

話を理解するのがとても早く
度々に、驚かされる


「だが、どうしてだろうか・・・弟子というより・・・右腕というよりなんだろうか・・・」


あぁ・・・わけがわからなくなってくる
こんなモヤモヤする気持ちはなったことがない。

自分のことなのにわからなくなるのだけでも
イライラするというのに・・・・


「一人の女性としか見ていられずにいる・・・」


「それって・・・・・自惚れても・・・いいですか?」


「どういうことだ?」


「それって・・・私に恋しちゃってるってことですよ、お恥ずかしながら」


恋・・・・そういえば私はそんな経験をしたことがないな
こんなに甘酸っぱいものなのだろうか?

さっぱりわからない

この感情が恋だとしたら・・・
どうするべきなのか・・・


「答えがわからないって顔していますよ?」


「・・・・」


「でも、この感情は戦場では邪魔になります」


確かにそうだ、ルナを見ているだけで
こんな状態が続けば、命を落とすだけだ


「マスター、解決する方法が2つあります」


「どういうことだ」


「1つは、私を右腕から外し、解雇。もう1つは、あなたの恋人にすることです」


女はこういう状況は慣れているのだろうか?
私と違ってルナは余裕そうにみえる・・・


私が恋愛に疎いだけなんだろうが・・・
ルナを手放す方法・・・今となってはそれは無理だろうな・・・


地に落ちたな・・・私も



「ルナ、私の女となれ」


「Yes,My Master.」


答えは簡単だ、はじめから彼女に見入ったときから
もうこの感情は始まっていたのかもしれない


長い間気づかなかっただけで・・・
私が死神なら・・・彼女は女神でいてくれ


そうすれば・・・




---END---





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