舞われまわれ | ナノ







「何が起こった!」
「わからん、庭のほうで爆発が起こったとしか」
「手の空いてるものは向かえ!」

ドタドタドタと慌しく駆け回る足音を物陰に隠れてやり過ごす。
すでにプロシュートとは別行動をとっている。
どうやら彼は大勢を相手にすることが多いようだ。

「こちらマキナ。上層階に侵入します」
一応一言通信を入れてから、階段を慎重に駆け上がる。

「こちらソルベ。マキナは15階を目指してくれ。リーダーもそこに向かっているはずだ」
「15…」
現在5階。
「りょ、了解」
後10階かぁ。
途方も無いなと落胆している時間は無い。
たった10階と心でつぶやきながら足を進めた。


12階に差し掛かったところでまた連絡が入った。
「こちらリゾット。15階の奴はあらかた片付いたがターゲットの姿が見えない。どこかに隠し通路でもあるのかもしれない」
「こちらプロシュート。
下にもターゲットは下りてきてないと思うぜ?
…老けててわかんねーかも知れねーが」
なるほど、隠し通路か。
いかにもって感じだ。
ひとまずリーダーと合流しよう。

「あれ?」
足元に違和感を感じる。
壁の表示を見ると14階を指していた。
「ここだけ、音が軽い。」
あんまり何度も足踏みを踏めないから確認が取れないが、ここはおかしい。
暗くて足元がよく見えないが脇にじゅうたんが捲れていた。普段は隠してあるのだろう。
しかしいざという時にこれだけあからさまで良いのだろうか。

「こちらマキナ。階段の14階踊り場に怪しい場所を発見。隠し部屋かもしれません」
その場を少し離れてから連絡を入れる。
「わかった、そのままそこで待機していろ」
リーダーの声で通信が入った。
気配を殺して暗闇を注視する。

「どこだ」
「っ!!!リーダー…」
急に後ろからリーダーの声がした。
気配がなかったよ。
叫ばなかった自分を内心褒めてあげつつ指だけで先ほどの位置を指す。
「突入していい?」
慣れないヒールはこの際脱ぎながら問う。
裸足のほうがよっぽど安全だ。
リーダーは首を縦にふって了承の意を見せたかとおもうとまた闇に消えた。
私は太ももからククリナイフを取り出し柄を件の床に叩きつける。
「よし!」
床はいともたやすく割れ、隠し部屋の扉が姿を現した。
扉を上に持ち上げ、室内に滑り込む。
「よくここがわかったな」
「そりゃあれだけあからさま…」
カチャリ
室内には10人前後の黒服の男が銃を構えて待っていた。
あれ、大ピンチ?