舞われまわれ | ナノ







「例の件だが、チルコの手の者の犯行のようだ」

リーダーからの収集にチーム全員が集まる。
前はこの溜まり場いっぱいにむさくるしく集まったもんだがこの短い間に随分減ったものだ。

「俺たちはチルコと一発ド派手にぶちかますことになった。といってもやりすぎはよくない。何事にも限度ってもんがある。要は奴らにどちらが上なのかを、手を出して良い相手の見極め方って言うのを教えてやるんだ。優しく懇切丁寧にな」

チルコ、それは近年その勢力をじわじわと伸ばしつつあるファミリーだ。
しかもここ数ヶ月パッショーネの勢力圏内にまで進出し始めているという。
その評判は悪く、なんでもありな無法者の集団だと聞いてはいたのだが、成る程噂のとおりのようだ。

「内容は簡単。チルコの奴らを血祭りに上げろだとよ。まぁ取りこぼしはあっても良い。ただもう二度と俺たちの縄張りで好き勝手出来なくしてやれって事だ。現在ネアポリスにはまさに今回の騒動の犯人の拷問部隊とは別に他の部隊もいくつかいるらしい。俺たちの担当はその件の拷問部隊と情報部隊ということになった。そこで二手に分かれなくちゃいけない。ただでさえ人手が足りないっていうのに一番厄介な所を任されたもんだ」

作戦会議は続く、奴らのアジトの詳細な位置や人数が述べられていく。
それらを一度に頭に叩き込む。
メモをとることは許されていない。

「情報部隊の方は30人弱確認されてるんだが、方や拷問部隊ってのが5人弱って言う話なんだ。まぁそんな部隊に入ってるような狂人はそれくらいでもやばそうだが、…ブチャラティ、行ってくれるか?」

危険な敵にはスタンド使いを連れて行くように本部から言われているのだろう。

「勿論です」
「流石に一人は辛いよな。ほかに行ってくれる奴いるか?」

するとすぐに一人の手が挙がる。
皆渋ると思っていたので意外だったが、その人物を見て納得する。
スカルベ、轢死したオッキアリの最後の姿を目撃した友人だった。

「よし、じゃあ手前らに任せる。健闘は祈らん、立派じゃなくたってかまわない、どんな卑怯な手を使っても生きて帰ってこい。それじゃあ各自自分の持ち場は分かってるんだろうな!決行は今夜零時丁度だ。それまで各々用意しろ、準備を怠るなよ、解散!」