舞われまわれ | ナノ







「あれ、マキナだ」
「本当だ、あいつ買出しサボって何してんだ?」

ソルベの指差した先を見ると、確かにマキナがいた。
公衆電話でなにやら楽しそうに話している。
ここはアジトのすぐ近くだ。
アジトに帰ってから電話すりゃいいんじゃあねぇのか?

「あいつ、アジトに電話あるって知らねーのか?」
「ジェラートは疎いなぁ。アジトで出来ない話だからわざわざ外でするんだよ!」
「は?」
なんか妙に楽しそうなソルベが言う。
確かにアジトにはリビングに電話あるけど、子機部屋に持ってけばいいじゃんか。

「だから、要するにこれだろ?」
そういって奴は親指を立てる。成る程、そういう話か。

「でもあいつまだどうせ10そこらだぞ、いや…無いだろ」
「最近の子は早熟って言うじゃん。いやー、遠恋ってやつか!青いな!」
「…なんでお前がそんなに楽しそうなんだよ」
「二人の逢瀬を邪魔しちゃ悪い、気付かれないうちに行こうぜ」
「まぁ、どうでもいいけどよ」

そうか、男か。

マキナの何時にまして気の抜けた笑顔を見ていると成る程、合点もいく。
ソルベの言うとおり気付かれないうちに俺らはアジトへ戻った。