舞われまわれ | ナノ







今日は買出しのついでに公衆電話に立ち寄る。
アジトに電話が無いわけじゃないけど私事での利用は避けるべきだ思った。
これでも暗殺チームだし、あんまり相手の履歴に電話番号を残すのは得策じゃないだろう。

受話器から呼び出し音が規則的に聞こえてくる。
あれ、誰もいないかな。
「もしもし」
すると懐かしい声が受話器の向こうから聞こえてきた。
「もしもしー、マキナです!」
「マキナ!元気にやってるか?」

電話先はもちろんブチャラティ。
向こうで彼がお父さんを呼ぶ声が聞こえる。

「うん、もう任務にもちゃんと出てるのよ!」
「…そうか、辛くはないか?チームの奴らとも気が合いそうか?」
「辛くは無いよ。そりゃあちょっと怖いけど、チームの人たちもよくしてくれるし!
だから安心してねって伝えようと思って」
「ああ、それを聞いて安心した。
でもなんかあればすぐに言うんだぞ?」
「了解であります!」
「よし、じゃあ父さんに代わる」
「うん、あーお父さん!元気?」

電話越しで聞く二人の声は妙に近くて、なんだか少しこそばゆかった。