舞われまわれ | ナノ
それでこうなるわけだ。 「君は本当に可愛いねぇ。どうかね、私の部屋で一緒に甘いものでも食べないかね」 「甘いものですか?大好きです!」 そういって連れてこられた部屋で途方にくれる。
入り口のほうでしばらく人を近づけるなとの声が聞こえる。確かにこれなら殺しやすい。 はてさて、自分の純潔をこんな所で失う気は無いのでどう時間を稼いだものか。
「待たせたね」 「いえ、それで、がっつくようでアレですが私甘いものが楽しみで…ショートケーキですか?」 「そんなものじゃないよ」 「待ってください、今当てますよ。モンブラン!」 狸爺はネクタイをはずし始めた。 廊下にいた人々はもう階下だろうか、いやあと十数秒か。 エレベーターの中に入ってくれていればいいのだ。 「うーん。もっと硬いものだよ」 嫌な予感がする。 「ミルフィーユ?」 「もっといいものさ」 「わかりました、タルト!」 「違うねぇ。正解は私の」 ああ、もう無理。 「私の×××とでも言うつもりかよ糞狸!」 「なっ!」 「ブレインシチュー!アイアンメイデンにいれてしまおう!」 「何を、っひ、ひいいいい・・・もぐぁ!」 うるさいのでこいつのはずしたネクタイを口にねじ込む。 これでこの狸は動けない。体中が穴だらけになって痛そうだ。 私の能力じゃなかなか絶命にまで追いやれないのはもう十分分かってる。 だからスタンドで行うのは動きを止めるのみで止めは私が刺すことに決めたのだ。 持ってきたククリナイフで相手の喉元を掻っ切る。 気管にまで刃が達したのを確認して引き抜く。 うーん、地獄池。 「こちらマキナ、終わりましたー」 無線で他のメンバーに連絡を取る。 任務完了!!!!さっさとずらかろう。 「OK,こちらプロシュート、盛大におっぱじめ始めるぜ」 「…ギアッチョはもう始めてるみたいだね」 窓から脱出するとき途中に氷付けの階が見えた。 一足先にメローネの待つ車へと向かう。 私の能力は大人数には向いてないのだ。
「マキナお疲れー」 「メローネもー」 車に戻るとヘッドフォンをつけたメローネが出迎えてくれた。 「もうマキナ最高!おれも今度罵ってもらっていいかな。聞いててぞくぞくしちゃって」 規制を恐れないスラング、ベネ!なんて悶えているメローネの軽口を聞き流す。 「本当に気持ち悪かった。シャワー浴びたいよ」 あの狸の下品な笑いを思い出すだけで寒気がする。 「俺が洗ってあげようか」 「そんなことよりも二人は?」 「うんもう終わってこっち向かってるって」 そういってメローネは車にエンジンをかけ始める。 「でも最初の任務があんなオヤジで良かったよ」 「確かに。後味が良いもんな」 「本当に」 これで無罪の少女とか、飢えから仕方がなくパンを盗んだ少年とかそんなのがターゲットだったら寝覚めが悪くなることこの上ない。
いつかはそんな仕事も回ってくるのだろうけど。
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