舞われまわれ | ナノ







「本日は、私の―」
どうでもいい声はシャットアウトする。
とりあえずこれでいいのだろうか。こっそりプロシュートのほうに目配せをすると、女性たちにたかられて忙しそうだった。
きょろきょろしないように注意してギアッチョを探すことにする。窓際でつまらなそうにしていた。
「ギアッチョー」
「あ?お前か」
「この後どうすりゃいいんだろ」
「知るか、気に入ってもらえたならお前が嫌がろうとおそらく連れてかれるだろうよ」
「最悪じゃん」
「まぁ連れてかれなかったらもう忍び込むしかないんだがな。連れ込まれるほうが楽でいいぜ?」
「そんなもんか」
「そんなもんだ。お、挨拶終わったみたいだぜ」
「うへー、行ってきます…」
私はおべっかを使うべく、また狸爺のもとに向かうことにした。