舞われまわれ | ナノ







「ソルベー、ここわかんないんだけど」
「あ?筆算見せてみろ」
「ここがね、あ。ジェラート邪魔してごめんね」
ジェラートとカードをしていたソルベに算数の分からないところを聞く。
一応区切りの良いであろうというタイミングで声をかけたつもりだが大丈夫だっただろうか。
「気にすんな。頑張れ」
「ありがとう」
「頑張れなんてもんじゃねーぞ、お前の場合凄く頑張れ。ここは繰り下げだろ。ちゃんと上にちっちゃく書いとけよ」
「え、あれ?おかしいなぁ。引いてたつもりなんだけど」
簡単な計算はすらすら解けるようになったのだが大きい数は盆ミスを連発である。
慣れてきたという慢心のせいかミスの数も増え、最近算数が嫌いになりそうだ。
眉が思わず八の字になる。でも算数だもんね、頑張らないと。
そう、この先には数学と言う大きな壁が待っているのだ。ちなみにちゃんと学校に通っていた頃、数学はさっぱりだった。
意味不明の呪文が流れてるとしか思えなくて、真面目に取り組んではいるものの…結果はご想像いただこう。

「ありがとう、もうちょっと頑張ってくる」
「知恵熱出すなよ」
「笑えないわ」
ニシシと笑うジェラートに力なく微笑み返す。
「そう凹むなって。進歩はしているだろ?」
「ジェラートォ…」
嬉しいことを言ってくれる。
彼にぽんぽん心地よい強さで頭を叩かれ目を細める。
「頑張ります」
「よし、また何時でも聞きに来いよー。今日は夕飯までここにいるから」
「グラッツェ、ソルベ」
問題集とノートを抱え私はリビングを出て自室に向かう。
同年代の子達は三桁でも暗算出来る。
本当に頑張らないと。

先は長そうだ。