舞われまわれ | ナノ







「おやおや、眠り姫だ」
「あ゛?」

メローネとの任務から帰ってくると先にリビングに入った奴から楽しそうな声が聞こえた。
見れば新入りの餓鬼、マキナがソファをひとつ占領して寝ていた。
机の上には小学校の教科書、六学年分ある。中学のものもあるので大方誰かからのもらい物だろう。
「アジトのリビングじゃないみたいだねー」
へらへら笑うメローネは寝てるマキナの頬をつついている。嫌そうに眉をしかめるものの一向に起きないことが楽しいようだ。
「うぜーだけだ」
上はどうしてこんな餓鬼を俺たちのところに寄越したのか。こんな、二桁の割り算も間違えるような餓鬼を。
開かれたノートの×印を見ながらをそんなことを考えているとマキナが起きたようだ。
「ん・・・・メローネ、なにしてんの?」
「いや、若いっていいね。肌の張りがベネベネ」
「そんなおばさんみたいな。」
大あくびをしながら起き上がるマキナの隣をメローネがいち早く確保する。何やってんだあの変態。
一方のマキナは何処吹く風で目を擦りながらまた教科書を眺め始める。
メローネは何かに気付いたように教科書の山を漁り始めた。
「あったあった!」
楽しそうに取り出した教科書は…
「おい、メローネ」
「ん?何ギアッチョも読みたい?」
「ぶっ殺すぞ」
保健体育。
「マキナ、こっちの勉強は足りてる?」
「え?…メローネも好きだねぇ」
「そんなおばさんみたいな」
「真似しないでよ」
心底嫌そうな声でマキナは言う。
笑って受け流すのかと思ったら意外である。
突っ立ってるのもなんだし喉も渇いた俺はキッチンに向かうことにした。