舞われまわれ | ナノ







その時頭に軽い衝撃を受ける。
「え、何?」
「こっちのせりふだ。人のほう見て百面相すんな。気が散る」
どうやら丸めた雑誌で頭を叩かれたようだ。
「ごめん。無意識だった」
「だろうな」
さて、それで何処まで行ったっけ。そうだ、教科書が棚のダンボールのどれかに入っていることはわかったんだ。
しかし困った。奥のほうのダンボールだったら出すのが大変だ。あーでも手前に衣料品まとめたからきっと奥のほうのダンボールだな。うわぁ、もう勉強しなくていいかな…いやいやあの中にはブチャラティの教科書も入っている!ちゃんと勉強しなくちゃ。
「…おい」
「あれ、また百面相してた?ごめん」
「眉がとんでもなく八の字だった」
「おっと。ポーカーフェイスも大事だよね。暗殺者としては、ごめん」
「いちいち謝るな。怒ってるわけじゃない」
「え、ごめ…あ」
「ちっ、…それでなんだ、困ったことでもあるのか」
困ったこと、最初になんかあったな。今はダンボールに困ってたけど。そういえばどうして勉強の話になったんだっけ。
「無いんなら別にいいんだがよー」
「あったよ。」
「過去形か?」
「うん、今しがた貴方のおかげで解決した!ごめん、プロシュート」
「そうか、そういう時はありがとうって言うもんだ」
「成る程、ありがとうプロシュート!」
「よし、それでなんであんなに困ってたのかくらい教えろ、俺が解決したとあっちゃ逆に気になる」
「いやね、最初はなんて話しかけようか悩んでたの」
「なんだそりゃあ。お前そんなことで長らく考えてたのか、馬鹿だろ」
「途中から脱線したけど」
「それはそれで癪だな」
「靴、ピカピカだね」
「卸したてだからな」
なんだ、新品なだけなのか。
「騙された」
「なんだそりゃ」
カッカッと楽しそうに彼が笑うので釣られて笑った。
「お前は支離滅裂だな」
「脳内では繋がってるんだけどなぁ。何読んでたの?」
「ファッション誌だ」
「プロシュート載ってるの?」
「なんでそうなるんだ」

また笑われた。