舞われまわれ | ナノ







これからどうしたものかと、思案していると自分の肩が叩かれていることに気付く。
「なぁなぁ嬢ちゃん。お前、殺しの経験あるのか?」

たしかホルマジオ…さんが話しかけてくる。
あるといえばあるけれど、あれは一方的なものだったしなぁ。
でも全く無いわけじゃ無い。返答に困ってしまう。

「え?あ、嗜む程度に…?」
『ある』でも『ない』でも無い曖昧な表現を使ってみたつもりなのだが言葉を間違えた感も否めない。
後で辞書で確認しよう。
まぁさっき、プロシュートがいったような殺しの『いろは』とやらはわからない。
好き好んだ事もないけれど仕事であり、組織のためである。
それはつまりひいてはブチャラティの為であり、割り切る理由には十分なものだ。

「そうか、そりゃたいしたもんだ。んじゃ初っ端からお守りも必要なさそうだな」
意外だったようで少し驚かれる。
「でもまぁ困ったことあれば言えよー」
そういってどこかの部屋に入っていった。
面倒見の良い人なのだろう。
ちょっとブチャラティを思い出して別れてから一日もたってないのにホームシックになりかけた。

ついでに言うと後日嗜むの意味を辞書で調べて頭を抱えた。
「私、猟奇的殺人者とか思われてないよね」
不安だ。