舞われまわれ | ナノ







ブチャラティから餞別として渡された拳銃は予想以上に重くて冷たかった。
それを握り締め私は組織から指定された場所の扉を開けた。
「こんにちわー!」

無反応。

「だ、誰かいませんかー…」
あれ、間違えたかな、でもここであってるはずだしなぁ。
「何のようだ」
「ひゃあああ!!!!!!」

いつの間にか背後に大きなお兄さんが立っていた。気配がなかった、なんで?

「きょ、今日からこちらでお世話になるマキナといいますが、暗殺チームの方ですか?」

変わった目だなぁ。
身長差が激しいためこの上なく見下されている。
ていうかこんなに大きい人が近づいて来たらさすがに分かりそうなものじゃないか。
やはり、そちらが本業というだけのことはある。

それにしても、首が疲れるなぁなんて思考を飛ばしていると
「…話は聞いている。入れ」
お許しが出た。

「あれー、リゾットが女連れ込むなんて珍し…ってかえぇ〜、リゾットってペドだっげぶぅ!」
「口には気をつけろメローネ」
入ってすぐの部屋に変なマスクの人が変なことを口走った瞬間に変な風にいきなり血をはいた。
「もう、俺が生理中だったらどうするのさ。貧血で倒れちゃうよぉ。痛いー!」
「キモイ事言うなよ。しょおがねぇなあああああ、おいイルーゾォ!救急箱もって来てやれ」
「なに、また誰かと喧嘩…誰?」

予想外に賑やかな空気に半ば固まる。
暗殺っていうくらいだからもっと殺伐としているものと思っていた。
とりあえず、目の前の黒髪のお兄さんには曖昧な笑みを送っておいた。