舞われまわれ | ナノ







ドサッという音とともに奴が地面に落ちた。
マキナが能力を解除したのだ。

「マキナッ!」
彼女に近づこうと走るが奴のほうが早かった。

「何しでかしてくれてんだよ、クソカスがぁ!!!」
起き上がるとともにしゃがみこむマキナに奴は痛烈な蹴りを繰り出した。
「っがぁ…っふ、ぐ…」
マキナの小さな体がこちらへ吹っ飛んでくる。

「貴様、スティッキーフィンガーズ!!!」
「馬鹿め、パニックソング!!!!!!!」
「っち!!」
すんでのところでかわされた。
男のスタンド、パニックソングが姿を現した。
どろどろとした体表により輪郭は定かではないが、雨にぬれた犬のような薄気味悪い姿だ。

「当たらねぇなぁ!!なぁ、何で俺にこの能力が目覚めたと思う?」
ラッシュが避けられた、ということは奴のスタンドのほうがスピードは上か…!

「火炙りってよぉ、最も辛い死に方のひとつなんだってよ!じっくりじっくり全身の皮膚が焼かれるのにどれも致命傷に達するには時間がかかるんだよ、その間死ぬことも出来ずに苦しみ続けるんだぜ?最高だよなぁああああああああ!!!!!」
「お前のような屑を見たのは久しぶりだ…」
憎悪をこめて吐き捨てる。
敵の動きが早すぎて中々攻撃が決まらない。

「お前のその、ジッパーをつける能力?それもいいなぁ、すごく拷問向きだ!何も知らない一般人が自分の体がばらばらになった姿を見たらどう思おうかなあ、いいなぁ見てみたいなぁ!」

…っ当たらない!

「やってみたいとか思わないか、何なら協力するぜ!きっと楽しいだろうなぁ?」
「悪いがそんな趣味は無い!」
「最初は誰だってそうだ、そんなこと出来ないって泣き叫ぶもんさぁ。でも一回ハマっちまうと抜け出せない、楽しくなるぜ?あの餓鬼みたいになぁ!!!…ぐっ、は・・・!?」

その時、急に男の動きが止まった。

「楽しいなんて思ったこと、無かった!!!!」
ぼろぼろの体を引きずって立ち上がるマキナ、そのスタンドが男の胸を突き刺していた。