舞われまわれ | ナノ








刺すような寒さで目が覚める。いつの間にか眠っていたようだ。
あれは夢じゃない。
朝起きたらいつも通りの朝に戻ってることを期待している自分がいた。
…三人での生活を普通だと、何時から思い始めたのだろう。

起き上がると誰もいなかった。
腹部が痛い。服をめくってお腹を見ると痣になっていた。
今なら逃げられる。逃げられるけど

―…一応言っとくぜ?まぁ無いとは思うがよぉ。逃げたらあの爺を殺す。

逃げられない。
またお仕事が始まるんだろうか、怖い。
一瞬死のうかとも思った。けど家が割れている以上彼を刺激しないほうが良い。
お父さんに何かあってからでは遅い。
…起きたばかりなのに酷く眠い。
精神的な疲労からだろうか、現実からの逃避からだろうか、どちらでもいい。
眠ってしまおう。その間は現実を忘れられる。