舞われまわれ | ナノ







「あのぉ、板挟みになる方の身も考えてみない?」
「「…フンッ」」
おいおい、息ぴったりじゃないですか。



翌朝、集まった二人の様子を見るに喧嘩は延長戦決定のようだ。
このままじゃあ埒が明かないというものだ。

「というわけで、事情聴取を行います」
「余計なことしなくていいですよ?」
眉根を寄せて気遣わしげにフーゴは言ってきた。
「いや、余計じゃないからするんでしょ」
気を遣ってくれるなら仲直りしてください。

「いいんですよ、あんな奴放っておけばいいんですから」
先ほどの表情とは一変して、良い笑顔でフーゴはのたまった。

「アンタねぇ…ナランチャ、構わないでしょ」
「いいぜ?ああいう奴と違って俺は聞き分けはあるからな」
引きつった笑顔でナランチャは答えてくれた。
先ほどのあんな奴発言を聞き流そうと必死なのだろう。

…私を通して悪口の応酬をするのをやめてくれないか!

「そもそも、何が原因なのよ…」
「それは…」
ナランチャが言いよどんだ。

「ナランチャが僕の助言を聞かないから」
「違うだろ!お前のは小言だろ!いちいち言ってくるから!お前に言われなくたって出来るって言うのに、」
「出来ないからいったんだろ!」
「そんなのやってみなくちゃあわからないだろ!」
「いいや、わかるね!後処理するほうの身にもなれよ!」
「なっ!このやろっ…」

言い争いは許可しない…なんてイルーゾォみたいなことを言いたくなる。
頭を抱えてしまいたい衝動に駆られるが、そんな暇があるならまずは一旦止めないとまずい。
またどちらかが爆発するだろう。
「ストーップ!!静粛に!」
私は愛用のククリナイフを高々と掲げた。

「ッ、マキナ…」
「それは反則だろ…」
まだカッとなる前の2人はそれでどうにか落ち着いた。
ルールは破るためにある、という素敵な言葉をふと思い出したけど今はまぁ置いておこう。
話の軌道修正が先決だ。

「聞いた限りじゃあどっちも悪い。けどそれだけであんなに大事に発展したの?」
「「それは…」」
2人でハモって同時ににらみ合って気まずそうに黙ってしまった。
おいおい、やっぱり息ぴったりじゃないか。

事の発端はわかったが、正直いつもの喧嘩の原因と大差ない。
それなのにどうしてこうも2人の怒りは長引いているんだろうか。
頭を捻っても、続きを促しても事態は進展しないようだ。

「話す気は無いの…?」
そう念を押しても二人は黙ったままで、お互いの動向を気にしている風である。
「…仕方が無い」
個人面接と行こうか。