舞われまわれ | ナノ







「…機械が来たようだな。猿轡を外してやれ」
中には今日『も』一人のお兄さんが手足を縛られて捕まっている。
『チーム』の一人が彼の猿轡を外す。

「ってめぇら、誰に手を出してるのかわかってんのか?俺はなぁ、パッショーネの」
「下っ端だろぉおおおー?いいんだよ、見せしめだからなぁ♪」
「見せ…おい、本気か!?」
「ここが何処だか教えてやろうか。―俺たちはチルコのもんだ」

そういっていつものように『チーム』の人は皆お揃いでつけているバッジを見せる。

私は、持ってない。

「そして、拷問専門のチームさぁ」

猿轡を手でくるくる回しながらもう一人が楽しそうに笑う。

「拷も…笑わせるぜ、お前らの拷問ってのはくすぐりか何かか?こんな何もない部屋で拷問とは、よほど切迫した経済状況みたいだな」

お兄さんは一瞬怯えた顔を見せたけれどもすぐに強気な態度に出る。
皆、いつもそうだ。

「まぁまぁそう言っていられるのも今のうちっと。おい機械、後は頼んだぜぇえ?」
「いつもと同じだ、聞き出すことはもうない。奴がパッショーネのもんだという確証は得た。思う存分やれ」
「同じ…って具体的には」
「そうだなぁ、適当にいたぶって…ああそうだ、轢死にしよう!轢死体ってぇ…これ絶対うけるうける!!!」

まだ楽しそうに猿轡を回しながらその人は言った。

「れきしってなんですか?」

難しい言葉は分からない。
歴史?
そんなわけはないだろう。

「ひき殺せ」
そういって『チーム』の二人は出て行った。