舞われまわれ | ナノ







「マキナ、貴方に届け物です」
「ありがとう、っと。…うーん」
フーゴから渡されたのは差出人不明の一通の手紙。
「開けなくてもいいかな?」
「恋文かもしれませんよ?」
少し笑いながらフーゴは暢気にそんなことを言う。
彼は誰から来たかもわからない手紙を私が気味悪がってると思ったようだ。
しかし宛名の横に書かれた小さなマークが、誰からのものかを私にだけ教えてくれた。
ブチャラティを通さない辺りが卑怯なようで、ありがたい。

差出人は親衛隊だ。

「ちょっと出てくる」
「あれ、開けないんですか?」
「開けてもいいわよー、代わりに返事だしといて。答えはNoで」
どうせ封筒の中には何も入っていない。
この手紙を見たら、広場まで来いと言うことだ。
まだ恋文だと考えているフーゴは、呆れた顔をしている。
「貴方ねぇ、僕が読むわけにも行かないでしょう」
「じゃあ部屋に置いといて。いってきまーす」

こういう仕事は久しぶりだ。
だからどうしたといわれれば、やりたくない。