舞われまわれ | ナノ







包帯を解いて、また巻く作業をナランチャは手伝ってくれた。
幸い傷口は開いていなかった。
傷口をホッチキスで止める事態は避けられたというわけだ。

「ありがとうね」
ナランチャに礼を告げるが本人は思案顔である。
どうやら少し不恰好になってしまった包帯が御気に召さないようだ。

「なんかうまくいかねぇんだよなぁ…」
俺包帯巻くのが苦手なんだよー、と彼は不満顔で口を尖らせた。
そういえばフーゴに連れてこられた時も顔の包帯が解けかかってたなぁ。

「これから覚えていけばいいんじゃない?」
「器用になりてえなあー!」
包帯との睨めっこに飽きたのか、両手を挙げてナランチャは背伸びをした。

「そうだナランチャ、ありがとうね」
「なにが?包帯?」
「それもだけど、…助けてくれて」
言いながら腕の傷を撫でた。
あの時、ナランチャのエアロスミスがいなければ今頃私は死んでいただろう。
「あー、あれか。どういたしまして!どうよっ、俺かっこよかった?」
「うん、格好よかったよ」
それに比べて私は。
肝心なときに動けないなんて、弱いなあ。
「…ナランチャ?」てっきり、自画自賛の言葉が続くかと思ったらナランチャは呆けていた。
「へ、あ、いや〜…へへっ」
続けて照れくさそうに、はにかんだ。
「ありがとな!」
「どうしたしまし…て?」
反射的に返礼をしながら最後のほうは疑問形になってしまった。

なんで私がお礼言われているんだろう。