舞われまわれ | ナノ







深夜の三時を回った頃、外の通りから銃声が響いてきた。
断続的なそれは恐らくエアロスミスのものだろう。
敵襲のようだが、下はうまくやってくれているようだ。

それでも念には念を。
私は猫を起こさないように気をつけながら近くに寄り添った。
刹那、大きな爆発音。
その音に敏感に反応した猫はパニックを起こしたのか暴れだす。
「ちょ!!!」
シーツをバリバリと引き裂きながら床に転がり出ようとする猫を何とか押さえつけ、窓際に移動する。
どうやら、エアロスミスの銃弾が車に引火したようだ。
ずいぶんと派手にやっているようである。

しっかりと拘束しても尚、抵抗をやめない猫が落ち着く頃には下は静かになった。

「無事か?」
ノックと共にブチャラティの声がした。
「うん、大丈夫。お疲れ様」
「ああ、場所が割れた以上猫を移動させようと思う。だがお前はここに残って猫がこの部屋にいるように見せかけてもらいたい。頼めるか?」
「いいけど…」
移動させるといっても一体何処へ。
というか、あまり得策には聞こえない。
なによりも、なんだか発音が汚い。

…ああ、そういうことか。
「そうか、じゃあ俺は準備をしてくるからその間に猫を廊下に出して、お前はまた扉を閉めるんだ」
「・・・」
「聞いてるのか!」
なんだかイライラしているみたいだ。
「わかったから、準備に行けば?」
「な、…あぁ」
扉の向こうから気配が消えた。

「なんだかなぁ」
少しイラついていたのか手に力が入ったようで、猫がまた暴れた。