舞われまわれ | ナノ
「マキナ!マキナ!マキナ!」 早朝、枕元の喧しさで目を覚ますとなぜか目の前にナランチャがいた。 目だけ開けた状態で私の体は固まった。 「…へ?」 「出たんだよ!」 「は?」 「俺のスタンド!!!!」 「・・・そう」 「それだけかよ!」 「…とりあえず、何故ここにいるの?」 ここは私の寝室だ。 「それがさ、今日いつもより早く朝目が覚めたからさ。言われてたとおりにフンッ!ってスタンドを出すイメージを固めてたんだよ、そしたらよォ急にこうバビューンッ!!!と飛び出してきて、うおおおおおおおってなってよぉ」 「・・・で?」 擬音語が多くてよく分からない。
「そんで俺のスタンド見せようと思って!」 確かに、スタンド能力を実際に発現させるに当たってのアドバイスを先日彼にした覚えはある。 それで成功したのなら大変喜ばしいことなのだが。 「起こされる方の身にもなってよ…」 時計を見ればいつも起きる時間の30分前である。 まだ寝れたのに。 私は彼がいるのと反対方向に身をよじった。
「もっと他になんか無いのかよ!能力とかさぁ!」 「えー…二度手間になるから皆揃ってからでいいよ」 「見てみたいとか思わないのか?」
ゆっさゆっさと体を掴まれて揺すられる。 畜生、これでは寝れないじゃあないか。
「これから幾らでも見てくことになるんだから」
私は観念してナランチャの方を向き直った。 しかしまだベッドから起き上がる気にはなれなかった。 「なんだよぉ!折角マキナに一番に伝えに来たってのに!!」 ナランチャはずい、と枕元に両手をついて体を乗り出した。 私の顔に彼の影が落ちる。 いい感じに暗くなった、眠いぞ、寝れるぞ。
それにしても。
「…ってことはなに?ブチャラティ、アンタがここにいること知らないわけ?」 「真っ先にここにきたからな!」 うーん、なんだか嫌な予感がする。 ブチャラティ、真面目だからなぁ。
コンコンコン、
そのとき、タイミングよく扉をノックされた。 「あ」 「はーい」 ナランチャは私の代わりに元気に返事をした。 「もう起きているのか、マキナ。話し声がしたようだが…」 「おはよう、ブチャラティ!」 「…おはよう、ブチャラティ」 入ってきたブチャラティは、口を半開きにさせて固まった。 傍目に見れば寝ている私にナランチャが覆いかぶさっているように見えるのだろう。
「…ナランチャ、そこでなにしてるんだ…」 「そうだ、聞いてくれよブチャラティ!!!俺ってばさぁ、スタンドを」 「何をしているのかと聞いているんだッ!!!!」 「へっ…」 飛ぶ怒号に今度はナランチャが固まった。
朝から賑やかなことだ。
(マキナ、お前ももう少し自分が女であることを自覚しろ!) (とばっちりだ…)
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