舞われまわれ | ナノ







<執行猶予は一か月>

ホルマジオに続いてリビングに戻ると、今アジトにいるメンバー全員が揃っていた。
メローネもどうやら残念なことに、もう元の大きさに戻ったようだ。
「なんでホルマジオ二個持ってんだよぉ!!」
「今回ばかりはお前が悪い。ああもう、引っ付くな」

先ほどの仕返しなのか、嫌がらせなのか。
メローネはホルマジオにべったりと引っ付いている。

「…反省の色無しね」
「あ、マキナ。さっきはごめーんね?」
きゃぴっ、なんて効果音が付きそうな勢いでメローネは謝ってきた。
「ホルマジオ、これは謝ったうちにはいると思う?」
「お前が許す気になったかどうかだろ」

許すか許さないかで言ったら、そりゃあ答えは一つである。
絶対零度の視線をメローネに送りつける。
しかしメローネは意に介さない。
「なんだ、喧嘩か?」
どうしてくれようかと思案していると、リーダーが会話の輪に入ってきた。
「それが聞いてよ!」
そう私が食いつけば途端にメローネが青ざめた。

「ちょ、マキナ、マジでごめん。この話は3人だけのということでマジ許して」
メタリカされる自分が想像ついたのだろうか。
「…なんでもない。いつものセクハラ」
「そうか、フン。…メタリカ」
「なん、どぅげぇふぉっ…!!!!」
「なんとなくだ」
そういってリゾットは私の目元をごしごしと拭った。
「涙の跡があるぞ、余程の事をされたのだろう?」
「え、まぁうん、…でも、もう平気。許した。ありがとうリーダー」
流石に、口から剃刀吐き出してる様を見てしまうと。
私が折れなくちゃあメローネが死ぬ。
どうやら、他のメンバーも何処からかはわからないが聞き耳を立てているようだ。
これは私が許したって言わなかったら全員のスタンド能力フルコースがメローネを襲うだろう。
…流石に死ぬな。
メローネでも死ぬだろう。

とにかく今はこの話題を終わらせよう。
「そ、そういえば!」
「なんだ?急に」

メローネに睨みを利かせていたギアッチョが振り向いた。

「バレンタインデーは日本式で行くんだよね?」
「だからこうしてチョコくれたんだろ?」
イルーゾォは訝しげに答えた。
「そう、そして日本のバレンタインデーといえば!三月に素敵なものが用意されているよね?」
「…ホワイトデー」
「ビンゴよペッシ!」
ペッシの呟きを聞いた途端皆が、しまったという顔をした。
「お礼は三倍返しより受け付けます!」
「本命じゃねーし」
「細かいことは気にしないんでしょ?」
朝言われた言葉をプロシュートにそのままお返しした。
「というわけで、よろしくね?」
そういって笑えば皆にガックリと肩を落とされた。

「それにしても、ソルベとジェラート早く帰ってこないかな」
「…あいつら今日は泊まり何じゃないの…?」
言いにくそうにイルーゾォが答えた。
「あー…。あー…なるほどー…」
確かに、言われてみれば今日はアジトには帰ってこないだろうな。

素敵なバレンタインを過ごして欲しいものだ。

チョコの賞味期限が危なくなる前に、一度アジトに顔を出してほしいものである。