舞われまわれ | ナノ







<苦い、辛い>

「メローネー」
コンコンコン
「なぁにー?」
「チョコできたよー、入っていい?」
「どうぞー」
部屋に入ると、メローネはベッドに寝転んでパソコンを弄っていた。

「はい、チョコ」
「きゃー、マキナったらデキ女!」
「テンション高いね…」
「そういうマキナは顔が赤いけど、なんかあったのかな?」
「・・・別に。はい、渡したからね。味わって食べるように!」
「ちょ、ちょっちょっと待って!俺だけ尺短すぎるでしょ!」

何の話だ。

構わず出て行こうとしたが、腕をつかまれたことでそれも阻止されてしまった。

「つっかまえたー」
「で、何?」
「何でそんなに顔赤いのかな?」
先ほどのプロシュートの行動を思い出す。
途端に顔に血が昇り始める。
「赤くない!」
「言ってる傍からまた赤くなるし」
ケラケラとメローネは笑う。
かと思えば急に真顔になった。

「何、どうしたの…」
昼から酒でも飲んでいたのだろうか。
首を傾げればメローネは掴んでいた腕をひっぱり私を抱きとめた。

「あの、メローネ…?」
向き合う形となり、至近距離にあるメローネはじっと私の顔を見つめて来る。

「つまんない」
「え?」
「なんで俺相手には赤くならないの?」
「は?」
「誰かにもっと凄い事されたわけ?」
「ちょ、メローネ!!」
メローネは私の首筋に顔をうずめてきた。
かかる吐息がくすぐったい。

「こんなこと?」
そういうや否や首筋に違和感。
生暖かい何かに首筋をなぞられる。
「ひゃっ、ちょっ、お、怒るよ!!!!」
首筋を舐められたのだ。
冗談にしても限度があるだろう。
逃れようにも幾ら暴れても彼の拘束はびくともしない。

舌が首筋から耳元にまで差し掛かってくるともうどうにもたまらなくなってくる。
理由がありすぎて逆に理由がわからない涙まで出てきた。
体を精一杯捻ってメローネから逃げるが、そんなもの虚しい努力のようだ。
それでも逃れたい一心で体を捻る。

すると突如、視界の端に捉えていたドアが開いた。
「マキナー、俺にもチョコくれ、…よ」
「へ?」
そこにいたのはホルマジオで。
「リトルフィィートッ!!!!!!!!!!!!」

オレンジの陰がメローネへ向かったと思えば体を締め付けていた拘束感が消えた。